「ベントレーを乗り回す生活から“負債36億円”へ」 愛知・巨額融資詐欺事件、逮捕された社長の転落人生

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36億円超の負債

 17年に風向きが変わる。事業の多角化を掲げ、愛知や岐阜で美容院を経営する会社を買収したのだ。

 先の記者が解説する。

「この会社とアミック社が専門学校の親会社となりました。美容院では、素人の青木が経営方針に口出ししてスタッフがごっそり辞める事態となり業績が悪化。専門学校は人任せだったので影響はなかったものの、18~19年ごろになると本業に陰りが出ました」

 携帯電話の普及が落ち着いたためだ。

「そこにコロナ禍がきてアミック社は行き詰まります。23年8月、東京の関連会社と合わせて36億円超の負債を抱え、名古屋地裁から破産手続開始決定を受けるはめに。それでも青木の虚飾に満ちた暮らしは続きましたが、美容院は同月末で閉鎖。従業員に会社都合での解雇が伝えられたのは閉鎖3日前でした」

 専門学校もまたしかり。

「親会社の倒産を伝えず、翌24年4月に新入生を入れ、在校生には授業料を払わせていた。学校側が生徒や保護者に閉校を伝えたのはわずか3週間ほど前です。当然、入学金や授業料の返還、生徒の進路を巡るトラブルとなりました」

 なのに、美容師を夢見る生徒たちの人生を狂わせた彼らが罰せられることはなかった。だがこたびの逮捕で首謀者の化けの皮は剥がれた。粉飾の実態は次々と明らかになるだろう。

週刊新潮 2025年2月13日号掲載

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