気取っている情けない中年男性…東京03・角田晃広 バカリズム脚本ドラマで「ドはまり役」
喜劇役者として優れた特徴
そんな三者三様のキャラクターが、さまざまなシチュエーションでぶつかり合う。たとえば、「キングオブコント」の決勝で見せた「コンビニ」というネタでは、豊本と角田が働くコンビニに、包丁を持った飯塚が強盗として現れる。飯塚が「金を出せ」と詰め寄っても、過剰におびえる角田とあまりに物怖じしない豊本のどちらにも全く話が通じない。飯塚はたまりかねて「ちょうどいい奴はいねえのか!」と叫ぶ。それぞれのキャラクターが生かされているだけではなく、物語としてもオチまでの流れがよくできている上質なコントだった。
東京03のコントにおける角田のキャラクターは、気取っているけどどこかスキがあって情けない中年男性であることが多い。そして、俳優業でもそれに近い人物像を演じるケースが目立つ。本人が真剣にやればやるほどおかしみが出るというのは、喜劇役者として優れた特徴である。
「面白い演技」というのは、やたらとふざけたりはしゃいだりすることではない。そういうことをすれば人が笑うというものではない。むしろ、明らかに失敗しているのに強がっていたり、どこかかっこつけていたり、そういう部分に人間としての自然な面白さが出てくる。角田にはそういう人物を自然に演じる才能がある。
「ホットスポット」の役柄も角田にふさわしい。若手芸人として昔から一緒にライブに出ていたバカリズムが脚本を書いているからこそ、角田のキャラクターを見事に生かすことができているのだろう。今後も彼を軸にして物語が展開していくのは間違いない。今後が楽しみだ。