立ち食いそばチェーンが「イカ天」販売終了の衝撃…不漁やインフレで価格高騰「もはや高級魚」の声も

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 イカ天そば、イカ天うどんと聞くと、駅の立食い店を思い出す人も多いのではないだろうか。東京なら小田急電鉄の子会社が経営する「箱根そば」のメニューにイカ天そばとうどんが冷温両方、用意されている。大阪は「南海そば」の天王寺店にイカ天ぷらうどんとそばがある。Xで検索すると多数の投稿が表示され、エビ天と並ぶ人気メニューなのは一目瞭然だ。しかしながら、このイカ天が“消滅”する可能性があるのをご存知だろうか。

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 イカ天ファンに衝撃を与えたのが、東京都中央区に本社を置く「小諸そば」だ。《「いか天」終売のお知らせ》を発表し、2月4日現在、公式サイトに掲載されているほか、張り紙を掲示した店舗もある。担当記者が言う。

「小諸そばの店舗数は50を超え、大半が都内、それも中央区や千代田区など都心に集中展開していることで知られています。イカ天は人気メニューで、値上げではなく販売終了が発表されたことで、驚きの声がネット上に投稿されています。理由はイカの高騰と説明されており、在庫がなくなるとメニューから消える予定だそうです」

 小諸そばの公式サイトによると、温かいイカ天そばとうどん、冷たいイカ天せいろのそばとうどんが終了するのは2月末の見通しだという。さらに都内にある小規模の立食いそば店でもイカ天をメニューから消したところがあり、“イカ天終売”の動きはさらに加速する可能性がある。

「とは言え、そばやうどんの熱狂的なファンでも、『イカ天の終売は初耳』という人も少なくないでしょう。例えば丸亀製麺やはなまるうどんはイカ天がメニューに明記され、今のところ提供が続いています。またイカ天は人気だとはいえ、最初からメニューにない店も目立ちます。東京・浅草の『並木藪蕎麦』や、大阪の『道頓堀今井』といった名門の老舗ではイカ天そばやイカ天うどんを置いていない店が多数派です。また関東地方を中心にそば店のチェーン店を展開している『富士そば』と『ゆで太郎』の公式サイトにもイカ天のメニューはありません」(同・記者)

3・73倍の価格上昇

 それでも関東地方では知名度の高い小諸そばがイカ天の終了を発表したのだから、インパクトは強い。Xでは徐々に「小諸そばでイカ天が終売」の情報が拡散している。

「様々な意見や感想が投稿されていますが、中でも興味深かったのは『イカ天はあくまでもトッピングなので、値上げも限界がある』と小諸そばの決定に理解を示す意見です。小諸そばのかけそばともりそばは370円ですが、極端な話、イカ天単品が380円とそばの料金を上回り、イカ天そばが750円になってしまえば誰も注文しないでしょう」(同・記者)

 それほどまでにイカの価格は高騰しているのだろうか。調べてみると総務省が小売物価統計調査を実施しており、そこには「イカ」の項目がある。

 東京都23区の小売価格を調査した結果を見てみよう。鳩山由紀夫氏が首相だった2009年12月、イカ100グラムの小売価格は73円だった。

 ところが岸田文雄氏が首相だった23年1月になると小売価格は203円。何と2・7倍も高くなってしまったことになる。

 高騰は今でも続いており、昨年24年12月中旬の調査では275円まで上がった。09年12月と比較すると3・76倍という価格上昇になる。

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