ド軍との“密約説”を再燃させた佐々木朗希(23)のひと言とは? “払拭工作”に米代理人から「策に溺れた」の指摘

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直球の質問に曖昧回答

 なぜドジャースだったのか。佐々木は会見に先立って行ったスピーチでは、そのことに触れなかった。そして直後の会見の冒頭、誰もが関心を持っていたその問いを、いの一番で米メディアが投げかけた。すると、佐々木は時折、視線を落としながら「えー、まあ、どの球団もそれぞれ魅力があったですけど……。えー、そうですね、えー……」としばし考えた後に「いろんな話をした上で総合的にドジャースが一番良かったという判断です」と具体的な理由には触れずに回答した。

 ロッテがポスティング移籍を容認した時には「一度しかない野球人生で後悔のないように」などと語ったキャリアにおいて重大な判断にもかかわらず、である。

「直球の質問に“総合的”という23歳の若者らしからぬ、何とも曖昧な言い方をしたものですから……。あの問答で一部球団の疑惑をさらに深めることになりました」(前出の代理人)

 質疑応答は続き、ドジャースの印象などを問われた。ここで初めて佐々木の口から「一番はフロントの安定感かなと思います」と決め手の一つと言える言葉が出たのだった。

オルニー氏は他球団の疑念を代弁?

 振り返ると、佐々木の交渉に際し、代理人のジョエル・ウルフ氏は努めて「密約説」を火消ししているようだった。昨年11月21日、一部球団の幹部がドジャースと佐々木が裏で手を結んでいると疑いを持っていることに対し「私の高潔性を侮辱し、スポーツマンシップに欠ける行為だ」などと反論。さらにロッテ時代にメディアとの関係が良好でなかったことを理由に、メディアが辛辣な「大都市球団」を回避する選択肢を示唆したことから、ドジャースやヤンキースは選外との観測が一時浮上した。

「これもドジャース入りの既定路線をカモフラージュするために、あたかも他に選択肢があるように演出しているように感じました」(同代理人)

 入団会見時に取材に応じたウルフ氏は、ドジャースを選択した理由について「朗希はフィーリングや個人的なコミュニケーションを重視するタイプで、ドジャースに個人的なつながりを感じていたと思う。常に公平に判断しようと努め、決断はコインを投げるようなものだった。(ブルージェイズの本拠地の)トロントを去る時は簡単にブルージェイズに決まると思ったし、(パドレスの本拠地)サンディエゴでもそうだった。どんな決断を下すか本当に想像がつかなかった」と語った。

 だが、佐々木の獲得を希望したドジャース以外の19球団で、この言葉を額面通りに受け止めた球団がどれだけあったか。前出のオルニー氏は「他球団は『不正があった』と信じている。裏取引があり、最初からドジャースに決まっていたと思っている」とも指摘している。

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