ヤンキースが水面下で進める「大物日本人選手」獲得作戦 名門復活の切り札は「第2の松井秀喜氏」か
ヤンキースを救うのは「あの男」
もちろん、ヤンキースにも巻き返しの策はある。そのプロジェクトは水面下ですでに動き始めていたようだ。
「かつて、イチロー氏(51)の獲得とその活躍もあり、マリナーズがヤンキースに代わってメジャーリーグのトップニュースを飾っていました。2年後、ヤンキースが巻き返しに成功したのは松井秀喜氏(50)を獲得できたからです。近年、日本人選手が西海岸の球団と契約するケースが続いており、その流れをヤンキースが止めることができれば、注目度も高まってくるはずです」(現地記者)
その「第2の松井氏」として、ヤンキースが獲得を狙っているのが、東京ヤクルトスワローズの村上宗隆(25)だという。
村上は「令和初の三冠王」に輝いた22年オフ、3年総額18億円プラス出来高の複数年契約を結んだ。その契約が満了する今オフ、ポスティングシステムを使っての米球界挑戦が既定路線 として伝えられている。実際、ヤクルト球団も村上の夢を応援するコメントを出しており、村上自身も昨年12月の契約更改後の会見で「笑顔で背中を押してもらえるような成績を残したい」と語っていた。
村上が契約更改を終えた翌日、MLB公式サイトは早くもこんな紹介記事を掲載していた。
「日本のスラッガー、ムラカミが26年のMLB挑戦を目指している。彼は25年2月に25歳になるので、マイナー契約しか結べない25歳ルールから除外される。すでに結果を残している。通算836試合に出場、224本塁打、600打点、OPS.945。21、22年にMVP獲得。22年は三冠王だった。オフェンス力にやや不安が残るが、24年も33本塁打を記録した」
争奪戦はやはり避けられそうにないが、ヤンキースも村上がポスティングシステムに掛けられる今オフを意識しているような「動き」も見せていた。
「24年オフ、カージナルスからフリーエージェントになった元MVPのポール・ゴールドシュミット(37)を獲得しました。23年以降、打率成績は下降ぎみですが、一塁手としての守備力は健在です。ゴールドシュミットは複数年での契約を希望していましたが、ヤンキースは単年契約を譲りませんでした」(前出・米国人ライター)
その理由について、ヤンキースの地元紙「New York Daily News」は「村上を獲りにいくためではないか」とも報じていた。
ただ、“課題”もある。村上は三塁手としてやってきたが、昨季は15も失策を記録した。MLB公式サイトでも「ディフェンス力が不安」と紹介されている。一塁コンバートで守備難が解消さるのかどうかだが、バントを用いた作戦を多用せず、一人の打者との対戦中に牽制球の回数制限を設けるメジャーリーグでは、一塁手の守備負担は少ないという。また、メジャーリーグ名鑑にもあるように「DH、一塁手」と記載されているスラッガーも多い。
「村上が三冠王になった22年、ヤンキースも彼を視察しています。三塁手としての守備力には満足していないようでした。ただ、メジャーリーグはDHで勝負するほうが大変です。クリーンアップを任せられるような強打者ばかりですから」(前出・同)
しかし、今のヤンキースであれば、村上も「一塁手兼DH」で勝負できるかもしれない。24年シーズン、DHでの出場が多かったジャンカルロ・スタントン(35)がソトが退団した影響で、ライト守備に入ると見られている。
「主砲のアーロン・ジャッジ(32)の守備負担を減らすため、レフトへコンバートする情報も流れています。ジャッジがDHにまわる話は出ていません」(前出・同)
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