ウッズやマキロイらが設立した新リーグTGL リブゴルフからの参加を望むデシャンボーはゴルフ界の光になるか

スポーツ

  • ブックマーク

“PGAツアー寄り”のTGL

 TGLは、米国のプロゴルフツアーの「本家本元」であるPGAツアーとパートナーシップを結んでいるため、TGLに関する情報等々はPGAツアーからも発信されている。

 逆に言うと、PGAツアーといまなお統合交渉がまとまらないリブゴルフは、現状ではTGLとは距離を置く形になっている。TGL創設が発表された2023年の初めごろ、TGLへの参加の意思をいの一番に表明していたスペイン出身のジョン・ラームは、2023年11月に突然、「TGLには参加しない」と発表。その翌月、ラームはリブゴルフへ移籍した。

 言い換えると、リブゴルフへの移籍が決まったため、その発表を行う直前にTGLには参加できなくなったことを発表したと考えられる。

 ざっくり言えば、現状ではTGLは“PGAツアー寄り”で、リブゴルフとは一線を画していることになるのだが、そこにリブゴルフ選手のデシャンボーや彼のチームの面々が参加することは、果たして可能なのかどうか。

 デシャンボー自身が「とても楽しいと思う」と参加を望む意思表示をした今、TGL側はどう受け止めるのかが、とても気になる。

 米スポーツ・ビジネス・ジャーナルによると、TGLを運営するTMRWスポーツのマイク・マッカーリーCEOは、リブゴルフ選手の受け入れについて問われると、「私たちは素晴らしいゲームを創出することを目指しており、さまざまな可能性を議論することは、とても楽しい」と語り、受け入れるかどうかの明言はしなかったが、否定もしなかった。

デシャンボーの見上げた心意気

 ただし、マッカーリーCEOは「現状では、私たちのビジネスはとてもうまくいっている」と付け加えたそうだ。それゆえ、デシャンボーが望んだとしても、リブゴルフ選手がTGLにすぐさま参加できるわけではなさそうである。

 しかし、ゴルフの発展のために「何かをしたい」というデシャンボーの姿勢や心意気は見上げたものである。

 デシャンボーは自身のYouTubeチャンネルで得た収益を、チャリティ団体を通じて寄付しており、アクセス数をアップさせるために、常にユニークな企画を考えては実施している。先ごろのオフには、自宅の豪邸の正面側からショットし、「家越え」で裏庭の練習グリーン上でカップインさせるホールインワンにチャレンジして、大きな話題になった。

 メジャー・チャンピオンであり、すでに巨額を稼いでいる身でありながら、インドへ足を運んで初参戦したあたりも、「ゴルフの発展のため」という意識の表れと言っていい。

 リブゴルフが創設されて以来、PGAツアーとリブゴルフ双方のスター選手が同じ舞台でともに戦う機会は、マスターズや全米オープンといったメジャー4大会のみと言っても過言ではない。そこで、TGLが双方の選手が集う場所になってくれたら、混沌としているゴルフ界が明るく輝くのではないだろうか。

 デシャンボーがそのための牽引役に、なってくれたらいい。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。