「移民対策」強化を巡りドイツが大揺れ 「不寛容にならざるを得ない」納得の理由とは
世界の移民規模は減少に転じる?
反グローバルの動きを尻目に支持を伸ばすCDUやAfDの経済政策が、ドイツの多くの国民に恩恵を与えるかと言えば、残念ながらそうではないようだ。
ドイツの民間シンクタンク「欧州経済研究センター(ZEW)」は18日、CDUとAfDの政策はともに高所得者層に恩恵を与えるが、低・中間所得層の手取りは減少するとの分析結果を示した。これが正しいとすれば、ドイツ国民の不満の矛先はますます移民に向かうのではないかという不安が頭をよぎる。
欧州ではイタリア、オランダに続きオーストリアでも、移民排斥を掲げる極右政党が主導する政権が誕生しようとしている。移民大国スウェーデンも政策を大転換した。移民の出国を促すため、今年から自主帰国を決めた移民に対し、1人当たり最大35万クローナ(約490万円)を給付する予定だ。
世界に冠たる移民大国である米国でも、トランプ大統領が自らの公約(不法移民を強制送還する)を実現するための政策を矢継ぎ早に繰り出している。
冷戦終結後、国境を越える人の移動が急拡大した。世界銀行によれば、外国に居住する世界の移民数は2023年に3億人の大台を超え、21世紀初頭に比べて5割以上増加した。
「人が国境を越える流れは今後も止まらない」と言われていたが、世界の移民の規模が減少に転じるのは時間の問題なのではないだろうか。