「文春」を批判している場合なのか フジ経営幹部が直面する最大の危機「株主代表訴訟」
巧みな情報操作
関テレだけでなく、フジにもウソはあった。世帯視聴率が20%を超えていた人気番組「愛する二人別れる二人」(1999年)である。
この番組は問題を抱える夫婦が登場し、コメンテーターたちに叱られるのだが、ある夫婦の場合、本当は夫婦ではなかった。女性が番組出演後に自死して分かった。女性はうつ気味だった。それなのにスタジオに医師はいなかった。
あきれたのはフジなどテレビ界と深い関係にあった放送評論家による論評である。視聴者もやらせだと分かっていて、その上で面白がって観ていたのだから、制作者と同罪としたのである。
なぜ、やらせ番組の責任が視聴者にもあるのか。とんでもない論評だった。これもフジを救うためのウソの一部だったのかも知れない。今も昔もテレビ界には情報操作があるのは事実である。
「愛する二人――」のやらせが発覚した当時の社長は日枝氏。この不祥事により、M副社長、N取締役、M局長、K編成部長が処分されたが、日枝氏の処分はなかった。
日枝氏が2017年にフジとFMHの取締役相談役に就いたのも「責任を取らずに済むから」(フジ関係者)。いくら権力者の日枝氏だろうが、代表権があって視聴率と売り上げが低迷したら、株主から責任を追及される。取締役相談役はそれがない。いつまでも権力が握れる便利な立場なのだ。
「日枝氏の立場が安泰なのは、FMH社長の金光修氏もフジの新社長の清水賢治氏も日枝氏が自分に従順な人物を指名したから。いつもそう。関テレの大多氏も日枝氏の秘蔵っ子です」(フジ関係者)
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