「文春」を批判している場合なのか フジ経営幹部が直面する最大の危機「株主代表訴訟」
文春を熱心に後追い
フジテレビの系列局でフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の持分法適用会社である大阪・関西テレビが、番組とYouTubeで、『週刊文春』を激しく批判している。中居正広氏(52)の女性トラブルの記事を一部訂正したからだが、それでは関テレは過ちをおかしたことはないのだろうか。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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関テレが文春を激しく批判しているのはワイドショー「旬感LIVE とれたてっ!」(月~金曜午後1時50分)と同社YouTube。記事を訂正した行為を責めているだけでなく、雑誌そのものの信用性や存在意義についても疑問を呈している。
もっとも、これは自分たちのやってきたことと矛盾する。古くから文春の記事を信じてきたのはテレビ界だからである。文春に掲載された「ボクシング界毒入りオレンジ事件」(1981年)などの記事を、フジ系列を含めたニュース、ワイドショーは流してきた。
文春が米国ロスでの保険金殺人疑惑を報じた「疑惑の銃弾」(1984年)を最も熱心に後追いしたのはフジである。この記事に基づく報道を連日のように行った。もちろん番組は関テレでも放送された。文春の担当デスクである安倍隆典氏がフジの画面に何度も登場した。
それどころではない。文春の元編集長・木俣正剛氏(69)は、日枝久氏(87)がフジのオーナー一族の鹿内家に仕掛けた1992年のクーデターを後方支援したことを明かした(1月30日付、プレジデントオンライン)
もともと日枝氏のクーデターは文春のバックアップのもとで行われたというのはメディア界の常識だった。たとえば当時のフジの番組宣伝担当部長が、文春の取材に対し、会長だった鹿内宏明氏(79)の猛批判を毎週のように実名で行った。
経営とは無縁で中間管理職に過ぎない番組宣伝担当部長が、実名でトップを攻撃するなんて、あり得ないのだ。クーデター勢力に守られていたから発言できたのだろう。クーデター成功後、番組宣伝担当部長は順調に出世した。
そもそも、関テレは過去に大きなウソをついている。2007年、同局の生活情報番組「発掘!あるある大事典2」のデータやコメントが捏造されていた件を忘れてはならない。捏造は深刻で、当時の菅義偉総務相(76)が停波を検討するほどだった。
最終的に菅氏は関テレに対し、行政指導としては最も重い「警告」を与えた。当時の千草宗一郎社長(81)は引責辞任を余儀なくされる。日本民間放送連盟(民放連)は関テレを除名した。民放史上、空前の不祥事だった。
今回の中居氏のトラブルには関テレの大多亮社長(66)も深く関与している。中居氏がトラブルを起こした2023年6月当時、大多氏はフジの番組制作を総括する編成担当の専務だった。トラブルを知ったのも港浩一前社長(72)より先だった。
港氏はコンプライアンス推進室と情報を共有しなかったことで猛批判を浴びたが、それは大多氏も同じ。コンプライアンス推進室への連絡を促さなかったのだから。トラブル発生後、1年半も「だれかtoなかい」を続けた件についても一緒である。
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