雪国を悩ませる深刻な「除雪格差」…“下手な”自治体では「車がすれ違えず渋滞が日常茶飯事」 知られざる最大の原因とは

国内 社会

  • ブックマーク

除雪による自治体格差がある

 2025年1月、太平洋側では春のような陽気が続いたのに対し、日本海側や北東北は稀に見る大雪に見舞われた。一夜で数十センチもの雪が積もることが珍しくない雪国では、毎朝のように雪かきを行う光景が見られる。また、自治体から依頼を受けた業者によって除雪車と呼ばれるブルドーザーが運行され、生活道路の除雪が行われている。

 そんな除雪に関して、自治体による“格差”が問題となっている。除雪が“上手い”自治体と、“下手な”自治体には明確な差があるというのだ。要は、除雪車を運行する業者の運転・操作技術の差になるのだが、生活道路の除雪がしっかりなされているかどうかは、雪国の住人によって無視できない問題なのである。

 例えば、東北地方のある自治体A町は除雪が上手いことで定評がある。路肩までしっかりと除雪されているため、降雪がない季節と道幅がほぼ変わらず、車がスムーズに通行できる。ところが、その隣町B市は除雪が下手なことで有名だ。A町からB市に入ると、路面の状態が急激に悪化する。これには、住人からも嘆き節が聞かれる。

 B市の道路は路肩に雪が積もり放題で、除雪で寄せた雪の上にさらに雪が積もってしまい、車道が狭まっている。そのため、車のすれ違いが困難になり、早朝や夕方になると深刻な渋滞が発生するのが日常茶飯事だ。もちろん、歩行者は歩くことができない。さらに、車道には激しい凹凸の轍ができているので、運転中に何度もハンドルを取られてしまう。

秋田県から青森県への移住者が嘆く

 青森県は日本屈指の豪雪地帯である。昨年からたびたび豪雪警報が出ており、自衛隊が雪かきに出動するほどの事態になっている。県内では除雪が追い付かず、人の背よりも高い雪の壁ができあがっている状況だ。そんな青森県に、秋田県から移住したA氏は、「青森県は除雪が下手な自治体が多いのではないか」と指摘する。

「青森県では、国道や県道などの生活のメインになる道でも、除雪があまり上手とはいえないため、2車線の道を事実上1.5車線にしてしまっている例を多くみかけます。車のすれ違いが困難になっている例も目立ち、しばし交通網が麻痺しています。秋田県内ではガッツリ削ってメインの道路をしっかり確保するのに、どうも青森県では除雪への対応がなっていない印象を受けます」

 Aさんが生まれた秋田県の町は、青森県と同等もしくはそれ以上の豪雪地帯である。背丈どころか、家の2階まで雪が積もることも珍しくない地域だが、「除雪が上手いため、車の運転でストレスを感じることはあまりなかった」と話す。A氏はこうも続ける。

「青森県の人たちは朝から除雪を頑張っているのですが、私が住む自治体では、雪を道路に捨てている人が目立ちます。雪を車に轢かせて、平らにしようという考えなのかもしれませんが、明らかに通行人や車に迷惑をかけるやり方だと思います。雪を流す融雪溝が整備されていない地域が多いからなのかもしれませんが、それにしても意味不明です」

次ページ:除雪には職人技が必要である

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。