“トー横”“コミケ”界隈で被害続出…「ハイテク新紙幣」発行も令和の若者が「ニセ札」「ニセ紙幣」にダマされてしまう根本的な原因
いまだに出回っている500ウォン硬貨
夏と冬に行われている同人誌の祭典「コミックマーケット」の会場でも、支払いの際にあるコインが使われ、トラブルが起こっている。それは500ウォン硬貨である。韓国で流通している通貨であり、こちらも厳密に言えば偽コインではない。しかし、問題なのはデザインが500円硬貨にそっくりであるにもかかわらず、日本円にして50円前後の価値しかない点である。
500円硬貨と500ウォン硬貨は姿かたちもそっくりである。そこで、500円硬貨と見せかけて500ウォン硬貨を使い、品物もしくは釣銭をだまし取る手口が続出しているのだ。これは、コミケが近づくとSNSで注意を呼び掛ける人もいるので、比較的認知度が高いトラブルのはずである。
しかし、コミケのように大人数が参加するイベントでは、硬貨を確認する時間が十分にないことが多い。そのため、後から売り上げを計算しているときに発覚するというわけだ。ただ、500ウォン硬貨を使った側も、もしかすると500円硬貨と思って使った可能性もあるし、なんともいえない。結局は、受け取る側が気を付けて自衛するしかないのだろうか。
忘れ去られた500ウォン硬貨騒動
ところで、この500ウォン硬貨のトラブルは、一定の年齢層ならだれもが知っている出来事であるはずだ。平成初期、500ウォン硬貨に細工をして重さを500円硬貨と同じにして、自販機で使い、釣銭を盗み取る被害が続出していた。政府は苦肉の策として、2000(平成12)年発行分から、500円硬貨のデザインと材質を変更することを決めたのである。
こうして、500ウォン硬貨騒動は沈静化したかにみえた。ところが、それから20年以上の歳月が経ち、若い世代には500ウォン硬貨騒動を知らない人も少なくない。そのため、またまた騙されるトラブルが続出しているというわけだ。
500円硬貨は2021(令和3)年からさらに高度な偽造防止技術を盛り込んだ、“3代目”のコインが流通している。ところが、どんなに偽造対策を盛り込んだコインを作っても、昔と同じトラブルが発生している。もっとも、自動販売機などの機械は騙されにくいが、肝心の人間が騙されてしまうのだ。
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