“トー横”“コミケ”界隈で被害続出…「ハイテク新紙幣」発行も令和の若者が「ニセ札」「ニセ紙幣」にダマされてしまう根本的な原因
新紙幣で偽札との戦いに終止符を打てるか
昨年、約20年ぶりに新紙幣が発行された。紙幣を傾けると渋沢栄一の肖像画が動く“3Dホログラム”や、より細やかな模様をあしらった“高精細すかし”など、高度な偽造防止技術が話題になった。高性能なコピー機でも容易に再現するのは難しく、もはや偽札を作りようがないほどのハイテクな紙幣である。
【写真】偽札? イタズラ? 20年ぶりに発行された新紙幣に書かれた謎のメッセージの正体
昭和の時代は偽札が発見されると大騒動になった。戦後から高度経済成長期にかけて流通した聖徳太子の1000円札は、あまりに完成度の高い偽札が流通したため、政府は紙幣のデザインを刷新するという強硬手段をとったことがある。こうして発行されたのが、伊藤博文の肖像が使われた1000円札であった。
紙幣の進化は偽札との戦いである。優れた偽造防止技術が開発されたら、偽札がそれに肩を並べる技術を開発してくる、といった具合にいたちごっこが続いていた。ハイテクな令和の新紙幣によって長い戦いに終止符が打たれるのだろう……と思いきや、取材を進めるとすでに“偽札”が出回っている業界があるとの情報を得た。その一つが、“トー横キッズ”や“パパ活”の界隈である。
トー横に“偽札”が蔓延している?
筆者が取材した、トー横キッズのA子さんがこう話していた。「男性に声をかけられて、一緒にホテルに行き、部屋でお金を払ってもらいました。あとでお札を確認したらびっくりしたんです。おもちゃの紙幣だったんですよ。“子供銀行券”の“100億円札”と書いてあって……完全にやられてしまいましたね」
100億円札。もちろんそんな額面のお札は存在しない。しかも、子供銀行券とは、いわゆるおもちゃ屋で売っている子供向けのおもちゃである。したがって、厳密に言えば偽札ですらない。そんなものに引っかかってしまうとはにわかに信じがたいが、筆者がネットを検索してみると、実際に同様の手口に引っかかったという女性のコメントを見つけた。
どうやら同様の手口は横行しているようである。しかし、騙された女性側も、事が事だけに、泣き寝入りしているパターンが多いのだろう。A子さんは「ホテルの中で暗かったから引っかかったんですかねえ……」と話していたが、筆者は「人々がお札を見る機会が減ったためでは」と推測する。その理由は後で詳しく考察したい。
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