ロシアの最前線で北朝鮮兵が「1000人戦死」、手榴弾で自分の頭を吹っ飛ばすことも…ウクライナ軍の小隊長は「彼らは死ぬためにここへ来ている」と証言

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ロシア兵の“楯”に使われる北朝鮮兵

 北朝鮮兵に恐怖を抱くロシア軍の指揮官は、どのような作戦を立案するのだろうか。北朝鮮兵と行動を共にすることはリスクなのだから、彼らだけでウクライナ軍に突撃してもらえばいい……。

「非常に残酷な決断ですが、ロシア軍の指揮官も背に腹はかえられません。そもそもロシア兵と北朝鮮兵で部隊を編成すること自体がセオリーに反しています。北朝鮮兵だけで攻撃してもらい、自分たちの楯として使うしか他に方法はないのです。ただし欧米各国の分析を見ると、楯としても機能していないようです。北朝鮮兵がウクライナ軍に攻撃を仕掛けても、あっという間に撃退されています」(同・軍事ジャーナリスト)

 北朝鮮兵が手榴弾で自死を選んでいる問題は、北朝鮮が世界でも類を見ない特殊な独裁国家であることと密接な関係があるようだ。

「ロシアに到着した北朝鮮兵は、インターネットに自由に接続できるという環境が珍しく、暇さえあれば夢中で動画を見ているようなのです。現代社会との“隔絶”は相当なレベルで、これでは兵士としての能力を疑問視されても仕方ありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 ウクライナ兵は、衛星インターネットサービス「スターリンク」と接続しているタブレットを最前線の戦場で操作し、歩兵とドローン、そして砲兵の攻撃が連携するようネット回線で連絡を取りあっている。ウクライナ兵と北朝鮮兵の差はあまりに大きいと言わざるを得ない。

ひたすら前進する北朝鮮兵

「北朝鮮兵が手榴弾で自死を選ぶ理由として、共同通信は『一種の洗脳』というウクライナ当局者のコメントを伝えました。確かに洗脳という要素は否定できませんが、国に家族を残していることも大きいのではないでしょうか。自分が捕虜になってしまうと、家族や親類に累が及ぶという恐怖心です。北朝鮮には前近代的な人間関係が残っていますから、それが自死の決断に影響を与えている可能性があります」(同・軍事ジャーナリスト)

 ニューヨークタイムズ(電子版)は1月22日、「Fighting Alongside Russia, North Koreans wage own war(ロシアと共に戦う北朝鮮は独自の戦争を遂行)」との記事を配信した。

 記事によると北朝鮮兵が突撃する時、装甲車両の援護はないという。さらにウクライナ軍のドローンを北朝鮮軍が攻撃する際は、北朝鮮の兵士が1人囮になるそうだ。

 もちろん手榴弾による自死についても触れており、こうした“非人道的”な作戦をニューヨークタイムズは《“殴り込み旅団”の戦術》と形容。《北朝鮮兵は自分たちを待ち受ける大敗北と大混乱を全く気にかけることなく前進していく》と描写した。

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