キャンプ開始のプロ野球で「期待値上昇中」のドラフト下位「注目ルーキー」 “即戦力候補”の4人をピックアップ
2月1日にキャンプインしたプロ野球。各球団で特に注目を集めるのは、ドラフト1位で入団したゴールデンルーキーたちだ。特に5球団が競合した宗山塁(明治大→楽天1位)、4球団が競合した金丸夢斗(関西大→中日1位)は、連日その動向が報道されている。しかし、ドラフトの順位は低くても、1年目から戦力となる選手は毎年、存在する。そんな今から覚えておいてもらいたい“無印”で即戦力候補となりうるルーキーを取り上げてみたい。【西尾典文/野球ライター】
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「多彩な変化球」「アンダースロー」が注目のセ新人投手
セ・リーグの投手で名前を挙げたいのが、宮原駿介(東海大海洋学部→巨人5位)だ。静岡学園時代は全く無名の存在だったが、大学で着実に力をつけて、3年春に先発を任された。3年秋、4年春には、大学日本代表候補合宿に召集されている。身長は174cm。投手としては上背がある方ではないが、ストレートは150キロを超えることも珍しくない。
東海大海洋学部(静岡市)がある東海地区の担当スカウトは、ストレートよりも“良い武器”を持っていると話す。
「それは変化球です。カットボールやスライダー、チェンジアップと、どのボールも腕を振って投げられる。なかでも、カットボールとチェンジアップは、バッターから見てストレートと見分けがつかず、勝負所で三振を奪えます。右バッターのアウトコースに投げ切れるコントロールもあります。宮原は全国大会に出ていないのですが、仮に出場して好投していたら、もっと評価が上がっていたかもしれませんね」
このスカウトのコメント通り、3年秋から4年秋にかけて、先発した試合では10試合連続で二桁奪三振を記録している。地方リーグとはいえ、これだけ三振を奪える投手はなかなかいない。巨人の左のリリーフは、外国人投手のバルドナードとベテランの高梨雄平が中心で、この2人以外は、大きく力が落ちる印象は否めない。キャンプやオープン戦から結果を残せば、一軍のブルペン陣に加わる可能性もありそうだ。
このほかのセ・リーグの投手では、アンダースローの下川隼佑(オイシックス→ヤクルト育成3位)も面白い。
神奈川工大時代は、リーグ戦での登板はわずかだった。大学卒業後、当時BCリーグに所属していたアルビレックス新潟BC(現・オイシックス)に進むと、2年目に11勝をマークした。さらに、昨年は先発と中継ぎで、フル回転の活躍で、イースタン・リーグの奪三振王に輝き、念願のNPB入りを果たしている。
かなり低い位置からボールを離すものの、コンスタントに130キロ台中盤のストレートを投げることができる本格派アンダースローだ。テイクバックが小さく打者からボールの出所が見づらく、三振が奪える。
BCリーグで2年、イースタン・リーグで1年と3年間怪我なくシーズンを全うしており、あらゆる役割をこなせるのも強みだ。育成ルーキーながら一軍キャンプに抜擢されており、投手陣の苦しいヤクルトのチーム事情を考えても、早期の支配下登録が期待できそうだ。
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