「セ・DH制」議論が過熱…かつて“100%賛成”と言い切った阪神「藤川球児監督」の複雑な胸中

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調整するのは他にも

 藤川監督が“調整”しなければならないのはDH制だけではない。引退後、スポーツ報知の評論家やNHKでの解説者を務めてきたせいか、関西メディアと質疑応答が噛み合わないときもあるという。

 今回のDH制導入論に関する質問を受けた際、「監督会議では決められない」と組織論を唱えたのもそうだが、大山がFA権を行使したときも、

「フリーエージェントで手を挙げた選手に監督がコメントするというのは、世界中でもタイガースくらいじゃないですか(笑)」

 と返し、その後の質疑がギクシャクしてしまった。

 自身も海外FA権を行使した経験があるが、指揮官としては主砲の流出は絶対に阻止したかったはず。選手の立場を優先し、自分の気持ちを口に出さなかったのは藤川監督の優しさだが、それを理解してくれる“味方”も増やしていかなければならないだろう。

「前政権と選手との接し方が違います。たとえば、佐藤輝明(25)に対して、岡田前監督はあえて厳しいことを言う場面がありましたが、藤川監督は遠くから見守っている感じで、練習内容も本人に任せています。3番タイプの森下翔太(24)を4番に置く構想を語るなど、藤川監督にしか分からない感性も多いので、取材する側も戸惑うことがあります」(前出・在阪記者)

 一塁手が飽和気味となった阪神が、もっともDH制に適したチームなのかもしれない。阪神フロントが折れるのか、それとも、藤川監督が考えを改めて導入の流れに抗うのか――監督独自の感性が、春季キャンプで試されていくようだ。

デイリー新潮編集部

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