華やかな業界に「過剰な接待」文化がはびこる理由…背景にある「アレオレ詐欺」の実態とは
学生時代はオレが一番面白かった
様々なメディアの中で、テレビと広告については関与する人数が多く「アレオレ」を主張する者は増える。たとえばこの企画を手掛けたというA氏について現場で近い存在だった人物に聞くと大抵はこんな感じの答えが返ってくる。
「あぁ~、まぁ、Aさんもいましたが、基本的にはクリエイティブディレクターの田中さんの発想が凄かったのと、あの発想を映像にしたディレクターの山田君の手腕がすごかったと思うんですよね」
このように、プロジェクトにかかわっただけで「アレオレ詐欺」をする人間が多いのである。なぜこのようなことをするかといえば、エンタメ・メディア関係者は自己顕示欲の強い者が多く、「学生時代はオレが一番面白かった」のような自信を持っていがちだからである。
テレビの場合でいえば、番組ごとの視聴率の競争があり、それは他局も巻き込むものである。社内だけでなく、競合他社とも視聴率競争をしているだけに、プロデューサーは自身の自尊心を満たすためにも、マウンティングをせざるを得ない。業界の会合でもそうだし、日々の会議でもそれは発生する。
「オレが手掛けた企画」がいかにヒットしたか
広告業界も同じだ。電通だろうが博報堂だろうがADKだろうが、その下に連なるクリエイティブエージェンシーだろうが、いずれも「オレが手掛けた企画」がいかにヒットしたかをアピールすることが極めて重要になる。
松本人志氏や中居正広氏も含めた「忖度接待」は、いわゆる「ギョーカイ人」によるマウンティングが影響したのではなかろうか。ぶっちゃけると、私も広告会社時代、CMのキャスティング権を握る社員から「おい、中川、オレ、あの有名女優とヤッたぞ!」と喜んで言われたことがある。
つまり、何かのCMのキャスティングにあたり、同列の女優・グラドル・タレントが競合プレゼンになった時に、芸能事務所から「枕営業」を仕掛けられ、同氏がその枕営業に乗ったということを意味するのだ。結局その枕営業がその女性の仕事獲得に繋がったかまでは分からない。だが、こうした「接待」が数千万円のカネを生むエンタメ・広告業界には、いかに自分がよりステイタスの高い女性と「行為」をしたかも含めたマウンティングが存在するのである。
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