「スーツに革靴で登山」「イジるとふてくされる」 石破首相の「変人伝説」を支援者らが明かす

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「不器用」な部分が悪目立ち

 最後に、長年支えてきた会のメンバーたちに、人心が離れた石破首相はどうすべきか聞いてみた。

「石破君のいいところは決してうそをつかないとこ。1990年の、消費税導入後初の衆院選で、自民党からは消費税についてはとにかく触れるなと通達が来た。われわれの会でも、消費税について話せば票を減らすのではという意見があったが、石破君は党に従わずに真っ正面から消費税について説明をした。批判を受けそうな問題からも逃げず、正直に語る姿勢が評価された結果、票を大きく伸ばしたんですよ。首相になった今こそ、そのような姿勢を見せてほしい」(佐藤さん)

 今回、鳥取の人々に話を聞いて分かったのは、石破氏の「不器用さ」だ。政治家としてストイックで勉強熱心な反面、食事マナーやファッションやらには無頓着。演説やディベートは得意だが、自己PRや対人コミュニケーションはうまくない。この「不器用さ」は、これまでの“自民党内野党”という立場であれば、メディアに「異色キャラ」として取り上げられることで好意的に受け取られたが、首相になったことでそのフィルターが消え、一気に悪目立ちしてしまった。

 1月24日から始まった通常国会で、この逆風を乗り切ることができるのか、石破首相は真価が問われる。「真面目でうそをつかない政治家」として再評価を勝ち取るのか、それとも「スーツで山頂に立つ変人」として時代の露と消えていくのか――。

窪田順生(くぼたまさき)
ノンフィクション・ライター。1974年生まれ。雑誌や新聞の記者を経てフリーランスのノンフィクション・ライターに。事件や世相などを幅広く取材。『14階段―検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。その他に、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』『潜入 旧統一教会 「解散命令請求」 取材NG最深部の全貌』などの著書がある。

週刊新潮 2025年1月30日号掲載

特別読物「スーツに革靴で登山、ネチネチ論法の意外な原点 地元支援者が証言する石破茂首相『変人伝説』」より

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