「スーツに革靴で登山」「イジるとふてくされる」 石破首相の「変人伝説」を支援者らが明かす
「人の悪口を一切言わない」
そんな40年来の仲間たちに、人間・石破茂についてどう思うのか聞いてみたところ、鈴木さんがすごく印象に残っているという思い出を話してくれた。
「石破君は人の悪口を一切言わないんですよ。今回の総裁選でも麻生(太郎)さんが石破君をすごく嫌っているという話が報道されていましたが、石破君の方は“麻生さんというのはとてもいい人だ”とすごく褒めていたんです」
2008年の自民党総裁選で石破氏は当時幹事長を務めていた麻生氏と戦ったのだが、その後地元に戻ってきた時、麻生氏を非常に高く評価していたというのだ。
石破氏は誕生した麻生政権で農水相として入閣するも、支持率低迷に苦しむ麻生氏に退陣を迫ったため党内で「裏切り者」と言われ、そこから麻生氏との確執が始まったと伝えられる。が、これも鈴木さんは「石破君からすれば、麻生さんであればまだいくらでも再挑戦できるので一旦退いた方がいいと考え、麻生さんなら分かってくれると思ったのでは」と石破氏の真意を推し量る。
「彼は自分のことをあまり喋らないので誤解されやすい。例えば、メディアでもあの喋り方が印象が悪いとかたたかれていますけれど、あれも実は彼の中学時代に関係しているんですよ」(木村さん)
「左翼かぶれの生徒からいじめというか……」
石破氏が鳥取大学教育学部附属中学(現・鳥取大学附属中学校)に通っていた1970年代初頭というのは学生運動華やかなりし時代、地方のエリート中学にも当然、マルクス主義にかぶれた“左翼学生”が存在していた。自民党田中派を経て鳥取県知事になった石破二朗氏の息子である「保守サイド」の茂氏が、彼らの批判の対象となることは容易に想像できよう。
「これは石破君本人に聞いたのですが、左翼かぶれの生徒からいじめというか、かなり絡まれたそうです。そこで彼は『諸君!』など保守系雑誌で江藤淳らの記事を読みあさって、保守の理論を身に付け、左翼かぶれの生徒を論破するようになっていった」(鈴木さん)
「ネチネチ論法」などと揶揄されることもある独特の語り口は、多感な中学時代に源流があるという。では、都市伝説が生まれるほどの「スーツ姿」も何かルーツがあるのか。
「若い時の石破君は、議員になる前の三井銀行(現・三井住友銀行)員時代の話として、雨の中ビショビショに濡れたスーツ姿だと、どんな営業先でも“よく来たな”と優しく迎え入れてくれる、というようなことをよく言っていた。それが頭から離れんから、今もスーツ姿なんじゃないかな」(佐藤さん)
“ふて癖”
佐藤さんはさらに、これまで聞いたことのない石破首相の意外な面を明かす。
「石破君というのはとにかく打たれ強い男なんですけれど、実はあんまり腐すとふてくされるんですよ。例えば、彼は選挙が強いけれど、それは佳子夫人の力が大きい。そこである時、酒の席で“もしも佳子さんが対抗馬になったらお前、絶対に負けるぞ”なんてみんなで腐したら、石破君はうーんとうなってしばらくふてていました」
このふて癖は若い時からあったという。初めて選挙に出馬する際、石破氏は「どんどろけの会」が見守る中で、政見放送の練習をしていた。不慣れな石破氏のスピーチを前に、メンバーは言いたい放題でダメ出しをしたという。
「銀行員上がりで、いかにもエリートという喋り方をしていたから、そんなんじゃ有権者にはウケない、もっと鳥取弁を出せとか、親しみやすい喋り方をしろとかいろいろ文句を言っていたら“だって僕はそんなふうに育ったんだもん”なんてふてくされてしまった(笑)」(木村さん)
昨年12月27日、東京都内で講演をした際、石破首相は「新聞読んだら誰も褒めてくれないし、ネット見たら何だか本当、悲しくなる」とボヤきを連発したが、実はこれも“ふて癖”が出てきてしまったということなのかもしれない。
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