「御上先生」が「金八先生」を批判するワケ 「ドラゴン桜」「VIVANT」「アンチヒーロー」の名シーンを彷彿
お笑い要素も
視聴者からはクラスの討論の場で、暴れたり怒鳴ったりする生徒が皆無だったことに「めちゃめちゃ見やすくてありがたかった」との声が上がっている。隣徳学院は県内トップの東大合格者を輩出している進学校という設定。クラス内での討論も理路整然としていた。
視聴者の緊張をほぐすためか、第1話ではアニメ「鬼滅の刃」の鋼鐵塚蛍(はがねづか・ほたる)を演じた声優の浪川大輔が、東大コース国語科講師役で出演。「そう、今なんです!」と東進ハイスクール講師でタレントの林修氏を真似るパロディーを披露した。殺人事件で始まった同ドラマについて「暗い」「重い」との指摘もあるが、こうしたお笑い要素も取り込んでいる。
他にも「VIVANT」にテントの幹部役で出演した林泰文が元政策秘書で神出鬼没の中岡壮馬役、「ドラゴン桜」で学校売却を企む教頭を演じた及川光博が文科省総合教育政策局の塚田局長役で、それぞれ登場している。「ドラゴン桜」、「VIVANT」、「アンチヒーロー」はいずれも同局の飯田和孝プロデューサーが担当しており、受験ミステリー風の「御上先生」は上記3作の粋を凝縮させているようにみえる。
驚いたのは「御上先生」が伝統ある同局ドラマの名作を、批判の俎上に挙げているところだ。かつての人気学園ドラマについて御上は「新シリーズが始まるたびに日本中の学校が荒れて学級崩壊を起こす。スーパー熱血教師以外は教師にあらず、という空気を作ってしまった」と強く批判したのだ。
「そのドラマは1979年から2011年までの32年間にわたってTBS系で制作・放送された『3年B組金八先生』シリーズです。このドラマの影響で保護者たちの教師に対する要求がエスカレートした――。要は、教育の理想を描いたドラマが、結果的に大量のモンスターペアレントを生んでしまった、というのが御上先生の主張です」(TBS関係者)
となると、「御上先生」は今後、どのような方向性を見せていくのか。
「『ドラゴン桜』シーズン2で俳優の阿部寛演じる桜木先生は、『大人たちに搾取されないためにも東大に行け。そして世の中を変えろ』と呼びかけ東大選抜組の受験指導を行いました。『御上先生』も学力向上のための学習法『アクティブリコール』を提示し、生徒を試します。日本の大学ランキングが欧米や中国、シンガポールの大学に比べはるか下位にあることから、日本の教育制度そのものの見直しも提示されていくのでは」(スポーツ紙デスク)
過去の大ヒット名物ドラマを否定し問題点を突きつける「御上先生」。このタイトルには「金八先生」と対比させる意図もあったのか――。
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