「転んでもいないのに骨折して立てないように」 こまどり姉妹・並木葉子さんが語る圧迫骨折の恐怖

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沈黙の疾患

 実は葉子さん、筋金入りのウォーキング実践者。50代に入ってから、運動のために浅草や上野周辺を毎日ひたすら歩いているのだ。皮肉にも、過度な健康法がアダになったのだろうか。

「一概に、2万歩歩くからダメ、とはいえません」

 とは、山陰労災病院院長で日本骨粗鬆症学会理事長の、萩野浩医師である。

「普通、歩いただけで骨折はしません。この場合、もともと骨粗鬆症で、なんらかの負荷がかかった結果の骨折と考えられます。12番目の骨は、胃の少し下あたり。副交感神経や自律神経の関係で吐き気が起きたのかもしれないですね」

 とした上で、

「背骨の骨折は、骨密度が低下した高齢者に多い。実は、骨折していても3分の1の人しか病院に行っておらず、残りの3分の2は“痛いなぁ”で放っておかれます。自然と治るパターンもあれば、悪化してしまうこともある。骨粗鬆症は“沈黙の疾患”と言われ、全く症状がないことが多い。女性であれば、閉経する50歳ごろから、骨密度を調べて、自分の骨の状況を知ることが大切です。薬物療法によって、ある程度は骨折を予防できます」

「“今度骨折したら終わり”と言われ……」

 退院後の現在、葉子さんはウォーキングを5000歩ほどに減らし、重い物を持つことも控えている。

「みんなが心配するんですよ。“今度、転んで骨折したら終わりだ”って。だから、今は杖を持って歩いています。最近は外国人も多くて、体の大きな人にぶつかったら終わりですから。あと3年で90歳。それまで元気でいなくちゃね」

 不死鳥のようである。

週刊新潮 2025年1月30日号掲載

ワイド特集「小寒の氷、大寒に解く」より

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