コワモテすぎる人気俳優「遠藤憲一」が誕生した瞬間…憧れの「鬼才監督」が言い放った“衝撃のひと言”
三池監督の鬼のディレクション
「そこでケツ出してウンコしろ!」
01年に公開された「天国から来た男たち」のフィリピンロケで、三池崇史監督がこう言い放ったという。
刑務所での撮影だったが、このロケは過酷なシチュエーションの中で行われた。現地で本当の刑務所を借り、エキストラは収容されているシャブ中の囚人だった。主演の吉川晃司と初対面のシーン。しかも、台本には「ケツ出してウンコ」とは書いていない。
フザけてんのか? と思ったのは一瞬のことだったらしい。エンケンが演じるのは傷害事件を起こしたキレやすい男。だから「なんでもありなのかな」と思った。三池監督は傷害事件を起こすようなチンピラなら人前で平気な顔をしてウンコくらいするだろう、観る人に男の性格をわからせるにはそれぐらいやってみろという、鬼のディレクションだったわけだ。
さすがに中身は出さなかったが、ズボンを下ろしてケツ丸出し、終わった後に紙で拭くマネをしたという。
それを演じたことで、それまで何がダメだったのか、なぜうまくいかなかったのかという、役者としてモヤモヤしていたものが霧が晴れるように、吹っ切れた。監督と出会って恥ずかしいという意識がなくなり、どんな作品でどんな役もできるようになったという。
エンケンと三池監督の出会いは、ある俳優の結婚式の二次会だった。アプローチしたのはエンケンから。エンケンは三池作品に出たいとずっと思っていた。しかし、待てど暮らせどオファーが来ない。なぜだ。そんな時に二次会に監督の姿があった。このチャンスを逃すわけにはいかない。そこで酒を飲んだ勢いで監督に突撃した。
「お前か、三池さんっていうのは。なんで俺を使わないんだよ!」
と言って首を絞めた。最後は泣きながら監督の膝の上で寝ていたというから、いやはやの修羅場だ。
もちろん、エンケンは突撃したところまでは覚えているが、その後の記憶がない。
この強烈な出会いの1週間後に「天国から来た男たち」のオファーが舞い込んだ。「三池監督に感謝」と手を合わせるエンケンの姿が目に浮かぶようだ。
(文中敬称略)