窮地のフジテレビ 株価爆上げ祭りの“怪” ホリエモン参戦で6月の株主総会は再び「10時間超え」か?
不動産事業が屋台骨
堀江氏と言えば、かつて率いた新興企業ライブドアが2005年、フジテレビの支配を狙ってニッポン放送株の敵対的買収を開始。結局、買収は失敗に終わったが、当時フジテレビ会長だった日枝久氏(現フジ・メディアHD取締役相談役)とは因縁の間柄となっている。6月の株主総会で直接対決が実現するかは、今後のフジ・メディアHDの経営陣刷新にかかっている。仮に刷新が不十分だった場合、株主総会は大荒れになることが予想され、先日行われた10時間会見以上の修羅場になることも十分にある。
このように窮地に追い込まれているフジ・メディアHDだが、収益の柱である不動産事業は堅固な収益源となっている。昨年11月発表の「2025年3月期第2四半期(中間期)決算説明会資料」によると、メディア・コンテンツ事業の営業利益が約47億円であるのに対し、傘下のサンケイビルなどが担う都市開発・観光事業は同98億円とほぼ2倍に上る。
「サンケイビルが運営する経団連ビルやJAビル、サンケイビルなどのオフィスビルや全国展開するインターゲートホテルズ、グランビスタホテル&リゾートの稼働が好調です。神戸須磨シーワールドでの飲食・物販のほか、世界的ホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルと組んだAloft Tokyo Ginza、ヒルトン・ホテルズ&リゾーツと組んだダブルツリーbyヒルトン京都東山も開業しました。熊本国際空港や、新千歳空港をはじめとする道内7空港の運営にも参加しています」(サンケイビル関係者)。
不動産事業はフジ・メディアHDの強固な屋台骨となっているのだ。それなのに、フジ・メディアHDの実績PBR(株価純資産倍率、29日基準)は、0.53と企業精算後に残る解散価値を大幅に下回っているのが現状だ。1000億円の価値がある会社が530億円で売りに出されているというと分かりやすいだろう。
「PBRの1倍割れはその上場企業の将来性を悲観して投資家から注目されなくなった結果として発生します。しかし、今回はダルトンの書簡やホリエモンの参戦で不動産事業の好調ぶりに関心が集まり、かえって投資家の呼び水になっています。取引時間中の株価の売買動向が分かる歩み値を見ると、100株、200株に混じって数千株単位の買いも見られます。複数の“もの言う株主”たちが巨額資金を注いで株式の買い増しに動いているとしたら、フジ・メディアHDは6月の株主総会に向けてさらなる修羅場に巻き込まれそうです」(金融アナリスト)
中居氏の女性トラブル発覚によって揺れに揺れているフジテレビ。株価急騰は吉と出るか、凶と出るか――。
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