“全落ち”でも「中学受験」の経験が強みに 高校・大学受験で逆転するための意外な方法

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高校受験でリベンジする

 塾関係者によれば、実は中学入試で中堅校にあと少しで届く程度の学力があれば、日比谷、西、横浜翠嵐、湘南、県立千葉など首都圏の公立トップ高校を目指すための土台(基礎)があると考えてもよいという。

 というのも、東京、神奈川、千葉、埼玉などは、学力上位層は中学入試でごっそり抜けるので、高校入試では残りの学力層の戦いになる。開成など最難関校であっても中学入試より高校入試の方が明らかに易しいようだ。

「例えば各県の公立トップ校である浦和、前橋、水戸第一と開成に『ダブル合格』する例も珍しくありません」(さいたま市・大手塾)

 よって、この事実をやんわりと子どもに伝えつつ、実際に受験をするかどうかはともかく、ひとまず「高校受験やってみない?」と親から優しく問いかけてみてもいいかもしれない。

 東京や大阪、横浜のいくつかの大手学習塾では、中学受験に失敗した優秀層を高校受験部に入塾(塾の費用をかなり安めにして)させ、トップ高校、大学の合格実績を稼いでいるところさえある。こういった塾を狙うのも手だ。

 とはいえ、中学受験で2年間勉強した子に、さらに3年間、難関高校合格のために勉強させることは子どもの負担になるのではと心配する保護者の方もいるだろう。ここは、あくまでも子どもの気持ちを大事にしてほしい。親がしっかり子どものがんばったこと、成長したことを見つけてポジティブな声かけをしていれば、子どものほうから「次の受験でがんばりたい」と言うときが来るかもしれない。

 いずれにせよ、大手塾では「中学入学前準備講座」など、小学生向けの安価な講座を実施しているところが多い。ひとまず子どもが最難関高校受験に向けての機運を高めるためにも、気楽に参加してみてもいいだろう。

〈前編の記事【中学受験でわが子が「全落ち」したら…親が「かけるべき言葉」と「かけてはいけない言葉」】では、結果が出た直後の親の心構えや声のかけ方などについて、西田氏が現実的なアドバイスを送っている〉

西田 浩史(にしだ ひろふみ)
追手門学院大学客員教授、ルートマップマガジン社 取締役・編集長、教育ジャーナリスト。2016年ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者、塾業界誌記者を経て、19年追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員、20年から現職。全国5000にも及ぶ塾の関係者(計20,000人)を取材。著書に『大学序列』(週刊ダイヤモンド特集BOOKS ダイヤモンド社)など。

デイリー新潮編集部

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