新横綱・豊昇龍と叔父の朝青龍「勝負強さはそっくり」、引退・照ノ富士の苦労は「指導者になった時に必ず役に立つ」【音羽山親方の初場所総括】
自信が付いてきた金峰山
――さて、今場所の立役者とも言える、金峰山関。これまで、「金峰山」という力士をあまり知らなかった人たちに対しても、強烈なインパクトを与えましたね!
音羽山親方:カザフスタン出身の金峰山は、日本の高校に留学して、その後、日大相撲部に進んで相撲を磨いた実力者です。195センチ、180キロの恵まれた体格。21年九州場所でデビュー(三段目格付け出し)し、所要8場所で入幕を果たしたのですが、首のケガなどで昨年は十両に下がる苦杯を喫しました。負傷の影響から、相撲が崩れていた時もありました。
体の状態が戻ってきたこともあって、自信が付いてきたのでしょう。来場所は、幕内上位まで番付を上げることでしょうが、翌場所以降も彼の実力を見極めていきたいと思います。
照ノ富士はよくがんばった
――話は変わって、初場所途中で、横綱・照ノ富士関が引退を発表。照ノ富士親方となり、後進の指導にあたることになりました。
音羽山親方:ヒザの負傷に内臓疾患、いろいろな体の不調がある中、よくがんばったと思います。横綱になってからは、休場しがちでしたが、出場した時には結果を出しましたしね。
大関から序二段まで番付を下げて、そこから戻って、横綱に上がるなどということはなかなかできないこと。普通は引退を決意しますよね。こうした、他の人が経験できないことを乗り越えてきた部分は、指導者になった時に必ず役に立つ。大きなケガをしたことのある親方のアドバイスは、弟子に響くし、モチベーションになるものです。
弟子を育てていくという意味では、これからライバルになるわけですが、「横綱・照ノ富士」のような独特の雰囲気を持った力士を育ててほしいですね。
霧島が「上を目指してがんばります」と
――音羽山部屋の元大関・霧島関は、初場所で11勝を挙げて、敢闘賞を受賞。来場所は三役への復帰が濃厚です。
音羽山親方:霧島に関しては、(師匠として)歯がゆさのあまり、昨年このコラムでだいぶ苦言を呈してきました。だから、初場所、霧島が初日から連敗した時、部屋で彼と話をしたんですよ。そうしたら、「上を目指してがんばります」と答えたんですね。
結果として、そこから10連勝して、2ケタ勝利を達成しました。霧島は昨年秋場所で12勝。大関復帰への足がかりを作ったのですが、翌九州場所で負傷して、相当悔しかったと思います。今年は心身を磨いて、大関を目指してほしいですね。
――最後に、新横綱・豊昇龍関にエールをお願いいたします。
音羽山親方:豊昇龍は25歳とまだ若い。これから先、優勝回数を増やして、横綱として1つの時代を築いてほしいと思います。
横綱の先輩として言えることですか? 横綱という存在は、みんなに見られているので、普段の生活や振る舞いを大切にすることでしょうか。「オレは横綱だ!」などという態度を取らないようにすることです。そして、つねに向上心を持って、場所に臨んでもらいたいと思っています。
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