イチロー氏(51)オリックス監督には「なろうと思えばいつでもなれていたのだが…」「人種」でも「人望」でもないメジャー監督への“壁”とは?
仰木監督の大き過ぎる存在感
WBCでイチロー氏とともに戦った経験がある元コーチはこう語る。
「イチローはオリックス時代に仰木(彬)さん、WBCでは王(貞治)さんという指導者の下でプレーしました。特に仰木さんの懐の深さを目の当たりにしたことで、自分は同じようにはなれないと思ったように感じられました」
マリナーズ時代の19年、開幕カードで現役引退を表明した際の会見では「人望がない」ことを理由に将来的な監督就任に否定的な見解を示した。
「それも仰木さんや王さんと比べると、というレベルの話でしょう。日本代表での周囲の選手への影響力は群を抜いていましたから。カリスマ性という意味では王さんにも引けを取らない存在なのですが……」(同前)
ここに来て、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(50)が、一部メディアで巨人監督就任に前向きとも受け止められる発言をしたことが話題を呼んでいる。NPBでは発足したばかりのJリーグに押され、人気低下の危機が叫ばれた時代を経て00年、日本シリーズでダイエーの王監督と巨人の長嶋茂雄監督による夢の「ON対決」が実現した。
松井、イチロー監督対決の夢
「巨人の松井監督に対し、オリックスがイチロー監督なら夢がある話ですよね。大谷のMLBに対抗でき得るNPBのコンテンツとしては、これ以上ないかもしれません」(同)
一方でイチロー氏のメジャー監督就任に現実味はあるのだろうか。MLBではマリナーズを率いたドン・ワカマツ監督や、現在のドジャースのデーブ・ロバーツ監督と日系人監督は存在するものの、日本人監督はいない。実現するならイチロー氏が現在、会長付特別補佐兼インストラクターを務めるマリナーズが最も可能性がある球団には違いない。
過去、選手時代の実績を評価されて米国野球殿堂入りした人物がメジャー監督に就任した例としては「最後の4割打者」テッド・ウィリアムズ氏や「史上初の両リーグMVP」フランク・ロビンソン氏が挙げられるが、近年では皆無だ。
「殿堂入りするほどの選手であれば、莫大な富と名声を築いています。オーナーになろうとすることはあっても、もう一度フィールドに戻って監督の仕事をしようとすることはなく、また球団側も(監督候補として)リストアップをしないことがほとんどでしょう」(米大手マネジメント会社の代理人)
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