BEGIN、故郷・沖縄への想いを込めた代表曲「島人ぬ宝」が令和でも支持される“納得の理由”とは “イカ天”を経てのデビュー当時も振り返る
記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス BEGIN(全3回の第1回)
この連載では、昭和から平成にかけて、たくさんの名曲を生み出してきたアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。
今回は、2025年にデビュー35周年となるBEGINにインタビューを行った。BEGINは沖縄県・石垣島出身の比嘉栄昇、島袋優、上地等からなる3人組で、’90年のデビュー曲「恋しくて」から数年はブルースバンドとして注目され、’00年代には「涙そうそう」「島人ぬ宝」など新たな島唄を制作。さらに、’10年代ではブラジルやハワイなど海外公演を行うなど、活動を重ねるにつれて音楽の幅を広げている。彼らはどういった想いで音楽活動を続けているのか、本年1月のベストアルバム発売を機に尋ねてみた。
【画像】1位はやっぱり「島人ぬ宝」。これに続くサブスク人気曲は…「BEGIN Spotify再生回数ランキング」 ほか
Spotifyの月間リスナーが35万人と人気! ブラジルや台湾など世界各地にファンが
ちなみに、Spotifyでの月間リスナー数は約35万人。CD売上でオリコンTOP10入りしたシングルは、35年間で「恋しくて」1作のみだが、その記録とは対照的に、非常に多く聴かれている。つまり、彼らもまた「記録」ではなく「記憶」されるヒット曲が多いということが予想される。
国と地域別で見てみると、日本のリスナーが9割以上とはいえ、2位以下はブラジル、アメリカ、台湾、オーストラリアと続く。海外ではアメリカがダントツとなるアーティストが多いなか、この結果はやや珍しい。
島袋「ブラジルには’11年、’13年と‘15年にそれぞれ公演で行ったので、その影響があるでしょうね」
比嘉「でも、台湾やオーストラリアではライブをしていないから、沖縄県人会が多い場所で人気なのかもしれませんね」
楽曲別で見ると、ブルースの「恋しくて」はアメリカが強いのに対し、島唄の「島人ぬ宝」はブラジル、台湾が強いので、それは一理ありそうだ。なお、年代別では彼らと同年代である55歳以上が16%と意外に少ない分、24歳以下が25%と若い世代にも広がっている。老若男女に人気の楽曲が多い彼らには、サブスクはとても良いシステムと言えるだろう。
メンバーにサブスクの使用状況を聞いてみると、意外にも多岐にわたって使いこなしていることがわかった。
比嘉「例えば、若い人達と一緒にいて、“ビートルズなら何がおすすめ?”と尋ねられた時、以前だったらカセットテープを入れ替えたりCDを取り出したりしていたけれど、今は“これとこれが良いから”とサブスクから教えています」
島袋「僕は、けっこう家で飲むのですが、その際にスピーカーで流すことが多いですね。でも、3月に日本武道館と大阪城ホールで35周年記念ライブがあるので、最近はもっぱら曲の復習に使っています(笑)」
上地「僕の場合は、石垣市のコミュニティFM局『FMいしがきサンサンラジオ』で番組のパーソナリティをやっているのですが、音楽コーナーを作ったほうが評判が良いからと言われて、サブスクを活用していますね。あとは、最近の音楽を幅広く勉強しています(笑)」
それでは、ここからSpotify人気曲を見ていこう。
次ページ:紅白出場の代表曲「島人ぬ宝」は「沖縄の子どもたちと作った、想いがつまった曲」
[1/3ページ]