65年間で「支配者」はたったの3人 フジ血塗られた歴史 87歳・日枝氏が権力にしがみつく理由
特殊なフジの歴史
フジの支配権には円満譲渡がない。そのうえ辞めた支配者は例外なく勝ち組から悪し様に言われる。功績は忘れ去られる。今、鹿内家を讃える者はフジに誰1人いないだろう。フジの歴史は血塗られているとすら言える。
「辞めたら負け。それは日枝氏も分かっている。だから、なんとしても辞めたくない」(フジ関係者)
しかし、さすがの日枝氏も危機感を募らせているようで、辞意を漏らした港氏、嘉納氏、遠藤龍之介氏(69)に向かって「こんなことで負けるのか!」と一喝したという。
「この言葉には日枝氏の保身の意味もある。腹心をなるべく失いたくない。鹿内宏明氏は1992年、産経新聞の取締役会で部下たちに裏切られ、会長を解任された。フジ、ニッポン放送の会長も解任される前に自分から退いた。このときの産経の取締役会には日枝氏もいた。味方が少ない危うさをよく知っているはず」(フジ関係者)
代表取締役の解任は取締役会決議で出来る。日枝氏は取締役相談役なので、もし解任する場合は株主総会での決議が必要となる。
株主総会の開催には取締役会の決議が必要である。フジの取締役は監査役も含めて26人。フジHDは17人。日枝氏を解任する動きが水面下で浮上した場合、多数派工作が行われることになる。
日枝氏の解任はあるのだろうか。
「これまでは可能性ゼロだったが、今回はあっても不思議ではない。まず日枝氏周辺の情報がマスコミに流れている。『こんなことで負けるのか!』と言った件もそう。過去には考えられなかったこと。中枢部に情報を流している者がいる。クーデターをやりやすくしようとしているように見える」(フジ関係者)
宏明氏が失脚した端緒は週刊誌報道だった。世間に理解しがたい宏明氏の言動が次々と週刊誌で暴かれ、求心力を失っていった。
宏明氏の代わりに支配者の座に就いたのが日枝氏。今度は『女性セブン』などの報道を発端に日枝氏は窮地に立たされている。
「フジへの批判は鹿内家の騒動のときとは比較にならない。あれは企業内の権力闘争だった。このままCMが戻らなかったら、社のあちこちからクーデターを求める声が上がる」(フジ関係者)
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