フジテレビ「グダグダ会見」3つの敗因とは? プロは「共感を得られていない」

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共感をなんとかして得ること

――なぜ失敗に終わったのか。

「3つの理由が考えられます。まず、フジの経営陣がどういう立場で会見に臨んでいるかがよく伝わってきませんでした。被害を受けたと報じられた女性を徹底的に守る立場に立つのであれば、『相手の女性に何ということをしてくれたのか』などという、加害者に対する怒りが滲み出るものですが、それはなし。『人権侵害は決して許さない』という気迫も感じられませんでした。

 危機管理広報で重要なのは、視聴者や消費者の『共感』(ラポール)をなんとかして得ることです。それがないと話の本論が入ってこない。しかし港社長の会見は、旗幟鮮明(Show the flag)には程遠く、会見冒頭から、見る者の共感を得る『ラポール形成』につまずいていました」

 会見が10時間半のグダグダに及んだ理由として記者のリテラシーに言及する声もあったが、会見する側のスタンスにも問題があったという見解だ。

典型が遠藤龍之介副会長の発言

――2つ目の理由は?

「次に、『事実認定』をめぐる中途半端な説明です。記者会見は法廷ではないので、何が事実かを認定することはハナから困難です。しかし記者は事実を追求するのが仕事。そこで、現在までに分かっている事実はコレコレで、分かっていないものはコレコレですと、明確に説明することが重要になりますが、その防御ラインが揺らいでいました。

 典型が遠藤龍之介副会長の発言で、当初は『中居氏と女性とは異なる認識だった』として、『同意の有無』についての当事者双方の認識が異なることを説明しました。これは普通に受け止めれば、中居氏は『同意がある』と認識していたが、女性は『同意がない』と認識していたということになります。

 ところが、それだと『性加害の不同意性』という刑事責任の追及を想起させる恐れがあるとして、慌てて火消しに走ったのでしょうか、司会役の上野陽一広報局長が『プライバシーの関係からお答えできません』と後から発言を訂正しました。遠藤副会長の発言をそのまま維持しても良かったのではないかと思います。いずれにせよ、踏み込んだかと思えば後退する、フジ側の中途半端な説明にモヤモヤ感が噴出しました」

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