中居氏への忖度か、フジへの遠慮か…1面トップでの追及が“控えめ”だった「スポーツ新聞」4紙の「個別事情」
報知が淡々と報じた理由
だが、《否定》という見出しだと、女性セブンや週刊文春が完全な誤報を掲載したかのような印象を与えかねない。
18日と28日の1面がフジテレビの会見が“失敗だった”と伝える記事だったことも興味深い。報知の親会社は読売新聞であり、“仲間”のテレビ局は日本テレビだ。ライバル局のトラブルについて厳しく取り上げたということだろうか。
「しかしながら20日間の紙面を見てみると、報知は中居氏のトラブルだけでなく、フジテレビの問題点も熱心に報じているようには思えません。サンスポと同じように社会面や芸能面で詳報した記事はありますが、ニッカンやスポニチほど“全面展開”という印象に乏しいのです。結局のところフジテレビだけを批判したとしても、それは回り回って中居氏のトラブルに逢着します。重大ニュースであることは前提として紙面を作りながら、少し距離を置いたというのが公平な評価ではないでしょうか」(同・記者)
最後に残ったのは東京中日スポーツ、略称トーチュウだ。1面に関連記事を掲載したのは中居氏の引退だけ。さらに最終面を見てみると、1回だけ記事を大きく展開している。
1面の回数だけを見ればデイリーと一緒だが、トーチュウこそ慎重派だと言える。また1月22日の最終面を見てみると、その判断センスが独特だと驚かされる。
トーチュウの独自センス
《フジ対応に言及 中居正広女性トラブル問題「メディアとして足りていない」定例会見で文化放送社長が説明求める 臨時取締役会を申し入れ、あす開催へ 「いろいろご迷惑をおかけしている」との連絡のみ 「クローズで映像も制限しており、もっとオープンにすべき」》
確かに社外取締役を出している文化放送がフジテレビを公然と批判したのだから、ニュース自体は大きなものだと言える。他紙も詳報を行ったが、1面に次ぐ役割を担う最終面に記事を掲載したのはトーチュウだけだった。
その一方で、28日の紙面でフジテレビの”やり直し会見”が1面や最終面に掲載されることはなかった。
この日は14面と15面をぶち抜いて会見の様子を伝え、見出しも「放送業界の信用失墜」と大書するなど、フジテレビの問題を積極的に追求する姿勢は伝わってくる。
とはいえ、ニッカン、スポニチ、報知、サンスポの4紙が1面で報じたことを考えると、やはり迫力不足と言わざるを得ない。
トーチュウは今年1月末に印刷を止める。とはいえ有料の電子版としては活動を継続するので、紙の休止が影響を与えたとも考えにくい。
あくまでも1面と最終面に限った調査だとはいえ、他の5紙に比べると、全体的に独自性の感じられない紙面展開だったと言わざるを得ない。
第1回【渦中の「中居氏」と「フジテレビ」をスポーツ新聞はどう報じたか…最も厳しい姿勢で1面トップを展開した「2紙」とは】では、逆にニッカンとスポニチは、なぜ中居氏のトラブルとフジテレビの問題点を積極的に報じたのか、その背景について詳細に報じている──。
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