中居氏への忖度か、フジへの遠慮か…1面トップでの追及が“控えめ”だった「スポーツ新聞」4紙の「個別事情」
第1回【渦中の「中居氏」と「フジテレビ」をスポーツ新聞はどう報じたか…最も厳しい姿勢で1面トップを展開した「2紙」とは】からの続き──。デイリー新潮はスポーツ紙6紙の報道姿勢を検証するため、元SMAP・中居正広氏の女性トラブルとフジテレビの問題を伝えた記事を1面で掲載した回数を調査した。(全2回の第2回)
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1位はニッカンとスポニチで6回。3位は報知で3回。4位はサンスポの2回で、5位はトーチュウとデイリーの2紙で1回だった。
なぜ報知、サンスポ、トーチュウ、デイリーの4紙は中居氏のトラブルを1面で積極報道しなかったのだろうか。担当記者が言う。
「まずサンスポは産経新聞社が発行しています。同社はフジサンケイグループの中核企業で、同じグループ内の不祥事をどう報じるかという問題に今も直面しています。とはいえ、1月8日から28日の紙面を詳細に見ると、社会面や芸能面ではフジテレビに批判的な記事も少なくありません。例えば関西テレビの大多亮社長が1月22日に会見を開き、中居氏とフジテレビに苦言を呈したことについては、翌23日の紙面で詳報しました。また28日はフジテレビの”やり直し会見”を1面で報じています。とはいえ、20日間の紙面をチェックすると、やはり“身内”の不祥事を大々的に1面を使って報じることに躊躇した印象を受けます」
特殊な事情を抱えているのはデイリースポーツだ。発行元は兵庫県の神戸新聞社。阪神タイガースの「機関紙」、「広報紙」、阪神ファンの「聖書」という異名で知られている。
フル活用された“裏ワザ”
「よほどのことがない限り、デイリーの1面トップは常に阪神ネタです。例えば1月19日のスポーツ新聞は、佐々木朗希投手のドジャース入団が決まり、1面で報じた社もありました。ところがデイリーは森下翔太選手がホームラン王を狙うという記事を1面に掲載したのです。ちなみにタイトルは《どすこい4番道の刺激 森下 本塁打王「狙いたい」虎の新主砲目指すは「3割30本100打点」》でした。ニュースバリューは佐々木より森下。いかにもデイリーらしいと言えます」(同・記者)
1面は阪神ネタが最優先。ならば中居氏の問題やフジテレビの迷走を報道するに際し、どうやって紙面でニュースバリューが大きいことを表現するか──この難問にスポーツ紙独特の紙面構成が活用された。
一般紙の最終面は多くがテレビ欄だが、スポーツ紙は重要な記事を最終面に掲載することがある。デイリーが中居氏とフジテレビの問題に関して記事を最終面に掲載した紙面から見出しをご紹介しよう。
◆1月16日
《フジメディアHD大株主激怒! 米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」 “中居騒動”海外にも波及 第三者委設置を要求 コーポレートガバナンスの重大な欠陥 フジ側「外部弁護士入れて調査開始」 日テレ「世界仰天ニュース」降板発表》
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