「トリオ」から「コンビ」となった「ジャンポケ」 エース斉藤の“穴”を2人は埋められるのか

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

アキナ、サルゴリラの例も

 斉藤という絶対的なエースがいたからこそ、彼らがあえてサポート役に徹しているところもあったのだろう。二人体制になることで今までとは違った形のジャングルポケットのネタが見られるはずだ。

 また、太田には「背中ジャンプ」という特技もある。あおむけになった状態から、手足を使わずに背中の力だけで体を跳ねさせるというものだ。バラエティ番組で田村淳、有吉弘行、山崎弘也などの先輩芸人に促されて、この技を披露する流れになることがある。柔道とレスリングの経験があって体格もいい太田が、真剣な顔で背中ジャンプをしている様子が面白い。体を張る笑いにも適性のある太田は、今後はその分野でも活躍できるかもしれない。

 一方のおたけは、とぼけた味わいの変人キャラとして知られる。マイペースで何を考えているのかわからないと言われることも多い。二人体制になったジャングルポケットは、世間からかわいそうに見られてしまっても仕方がない状態だが、おたけのからっとした明るさに救われている部分もあるのではないか。

 ネタ作りを担当する太田がいる以上、コンビになってもジャングルポケットの魅力がなくなるわけではない。トリオの1人が抜けて、残された2人がコンビとして成功するケースは過去にもある。大阪で数多くのレギュラー番組を持っているアキナ、「キングオブコント2023」で優勝したサルゴリラなどがその代表例だ。

 たしかに斉藤が抜けたのは痛手だが、太田とおたけの芸人人生が終わったわけではない。彼らにとってこれは新しい始まりなのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。