「巨大なクルドカーに追いかけられ、あおられた」 川口市で報告される数々の被害…市長は「日本文化を理解させるには長い時間がかかる」
日本語指導にかかる財政負担が
クルド人が何年も日本で暮らせば、子どもも生まれる。日本で生まれた子どもは在留資格が生じ、その親も資格が生じるケースもあるので、子だくさんの外国人は多い。
国は日本の小中学生に当たる年齢の外国人に、教育の機会を設けている。人道的な意義で行うため、在留資格の有無は問わない。他の自治体と比べ外国人が多い川口市の場合、日本語指導などにかかる財政負担も大きくなっている。
外国人の子どもには、希望制で、20日間80時間の日本語初期指導を行う。
「お腹が痛い、トイレに行きたい、など生活場面に関わる言葉を覚えさせます。これを“サバイバル日本語”といいます」
とは蕨駅近く、芝園町の川口市立教育研究所で日本語指導を担当する指導主事の佐藤彰典さん(以下同)。
初期指導教室を経た外国人の子は、自宅近くの日本人が学ぶ小中学校に通い、日本語の学習を継続する。
「日本語指導が必要な児童・生徒18~35人につき1人、専任の教員が配置されることになっていますが、現状足りていません。クルド語を理解できる教員もいません」
教育、医療に関わるお金が市の負担に
そもそもクルド人の子は学校に来ているのか――。
「仮放免の子は住民票がないので、分かりませんが、私の実感では多くの子が学校に在籍しています。学校では給食が出て、体調を崩したら保健室も利用できます」
外国人の教育に関して、奥ノ木市長は次のように話した(以下同)。
「どの国の子でも、学ぶ権利を奪ってはいけません。ただ、教育や医療など人道的な問題に関わるお金は国が手当てしてほしい」
医療も同様だと言う。
「急患で運ばれたり出産で駆け込んできたりした外国人を追い返すわけにはいきません。こうした医療費が未収金になり、市の負担になっています」
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