「在留資格のないクルド人は自国に帰るべき」 川口市長が語る クルド人問題を巡って「殺害予告も受けた」

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クルド人と生活をして見えてきた問題の所在

【全2回(前編/後編)の前編】

 クルド人が増え続ける埼玉県川口市。彼らによる騒動や暴行など、トラブルの数々も報道される。実際、そこに住んでみると不安を募らせる住民も少なくないように思われた。果たして市は現状にどう対応しているのか。文化も風習も違う彼らとの共生は可能なのか。

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 100人規模の暴動、無免許運転でのひき逃げ、女子中学生への性的暴行……。

 埼玉県川口市ではクルド人による事件やトラブルが続いている。そこで、現地で暮らし市民に近い感覚でレポートしてほしい、というミッションを編集部から与えられた。2024年9月には西川口のウイークリーマンションに入り、トラブルの現場を訪れ、クルド人のヤード(解体業者の資材置き場)で一緒に朝ご飯を食べて交流し、取材を続けた。

 そして2カ月――。さまざまな立場の人に話を聞き、問題の所在が見えてきた。

 クルド人が増え続ける実情、ヤードのフェンスと隣り合わせで暮らす市民の苦悩、脅迫される恐怖……など、問題と常に向き合う自治体の長の話を聞かなくてはいけないのではないか――という思いに至った。

殺害予告された市長

 クルド人問題では、不確実でネガティブな発信をすると、差別ではないか、と批判を浴びることが多い。しかし市民の身からすれば、治安への不安や不満はあるだろう。その矛先は川口市長にも向けられる。

 なかには過激な手段を選ぶ者もいた。

「殺人が裁かれないなら、明日お前を殺してやる。お前の命は、明日までだ」

 24年6月11日、X(旧Twitter)で、奥ノ木信夫市長は殺害を予告された。埼玉県警は市長の警護を強化。脅迫者の特定を急いだ。

 X上で脅迫者が“裁かれない”と指摘しているのは、同1月に市内のコンビニ駐車場の車の中で20歳解体業のクルド人の男が、女子中学生に性的暴行をした事件。5月に執行猶予付きの判決を受けて釈放されていた。

 市長は国に対し、不法行為に及んだ外国人の強制送還といった厳格な対処や、仮放免者(入管施設に収容されることを一時的に免除されている者)が就労できる制度づくりなどを求めている。

 後者について、在留資格を持たない外国人にずっと働く場を提供すると解釈した者もいた。脅迫者は、市長が仮放免のクルド人を受け入れようとしていると誤解したのだろう。

 断られることを覚悟の上で取材を申し込むと、市長は快く応じてくれた。

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