今の「フジテレビ」に必要なもの 「ワイドナショー」後番組を託された“八股”芸人のポテンシャル
珍回答「野生の勘」
そんな狩野の一世一代の大仕事と言えるのが、あの伝説の謝罪会見である。未成年女性との淫行疑惑を報じられた狩野は、報道陣に囲まれて釈明と謝罪を行った。相手の実年齢に気付いたきっかけを「野生の勘」と語るなど、彼らしい珍回答・珍発言を連発し、日本中を爆笑の渦に巻き込んだ。
自分が見えていない人間の自然なリアクションは、ときに人間が計算できる範囲を超える笑いを生み出すことがある。こういう人がゲーム実況に向いているのは当然だろう。ゲーム実況は、目の前で起こっている状況にその都度、反応していくことで成り立っている。狩野はただ必死にゲームをするだけ。自然な反応から魔法のように笑いが生まれ、ついでに奇跡的なトラブルまで次々に招き寄せていく。
Netflixのバラエティコンテンツ「トークサバイバー! ~トークが面白いと生き残れるドラマ~」でも、狩野はその持ち味をいかんなく発揮していた。過去に経験した「奇跡」の数が尋常ではないため、それをありのままに話すだけで自然と笑いが起こっていた。
スキだらけの構えで自信満々に芸能界を渡り歩く狩野のことを、誰もが温かく見守りたくなってしまう。危機を迎えているフジテレビにいま必要なのは、こういう人間の底抜けの明るさなのかもしれない。
[2/2ページ]