全国で頻発するメガソーラーのトラブル 原発事故後に分断を煽ったメディアの責任は
後を絶たない破壊とトラブルの原因
1月5日付朝刊には、「希少生物暮らす国立公園周辺 釧路湿原わきに『メガソーラーの海』規制後手」という記事が載った。日本最大の湿原である釧路湿原国立公園からわずか1キロの場所に巨大なメガソーラーが出現し、反対運動も起きているという話である。
釧路市に導入された10キロワット以上の太陽光発電は、2023年9月時点で631件になり、14年4月の82件から8倍近くに増えたという。さすがに釧路市も23年6月、太陽光発電に関するガイドラインを制定し、さらに厳しい条例化をめざしているとのことだ。同様に、メガソーラーによって自然や景観が破壊された例は全国で後を絶たず、トラブルも増えている。このため、再エネを規制する条例の数は、24年7月までに全国で302を数えるという。これは再エネ促進条例の数の約7倍に相当する、と記事には書かれている。
原発事故が発生した当時、自分と考えが合わない人の意見を無視し、「許せない」という負の感情を増幅させながら否定したりすることがなければ、メガソーラーによる自然や景観の破壊は、もっと防げたはずである。
考えが合わない人とのあいだに、いわば緩衝地帯をもうけて、話し合いの余地を見出す。そして、自分の考えと対立する人の考えを比較考量し、両者の長所と短所について考察をめぐらす。それができれば、前述の「当時の(福島)県幹部」のような後悔は避けられたのではないだろうか。「分断」を煽って考察する機会を奪ったメディアに対しても、当時以上の「分断」が生じているいま、あらためて反省をうながしておきたい。
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