今日ついにフジテレビの命運をかけた「記者会見」…デーブ・スペクター氏が指摘する「守秘義務」「女子アナ」「接待文化」日米の決定的な違い
契約が仇となった中居
ところが日本の場合、「私は守秘義務が明記された契約を結んだことがある」という人は極めて少ない。
「『中居さんから何らかの被害を受けた女性が、守秘義務の契約を結んだ』という事実が明らかになると、多くの日本人が『秘密を守る必要があるトラブルというなら、よほどひどい被害を受けたに違いない』と判断しました。しかも中居さんは自分が結んだ守秘義務契約が仇となり、説明も反論もできない状態に陥りました。もちろん私はトラブルの内容を知りませんし、結局は結果論なのかもしれませんが、いっそのこと示談した時に引退もする、と言った方がいさぎよく見えたかもしれない。また中居さんの行為を“斡旋”したと疑われているA氏の問題は分ける必要があるでしょう。なぜ番組出演を継続させたのかという疑問に対し、単にトラブルが世間にバレず、A氏と仲がよかったために守った可能性はあります。今後のため、より円滑に打ち切り(解雇)できるようハリウッドなどでよく使われる『morals clause(モラルクローズ=モラル条項)』をもっと普及した方がいいかもしれません」
モラル条項は国際契約では一般的だ。例えば企業が芸能人とスポンサー契約を結ぶ際、モラル条項に「芸能人側が不祥事を起こした場合は契約を終了する」と明記するわけだ。
アメリカにはいない“女子アナ”
2017年11月、アメリカの3大ネットワークであるNBCは、朝の情報番組で高い人気を誇っていた「ザ・トゥデイ・ショー」のキャスターであるマット・ラウアー氏をセクハラ疑惑で解雇したと発表した。
ラウアー氏は20年間、番組のキャスターを務め、まさに全米の“朝の顔”だった。2016年の契約更改では年俸2000万ドル(約22億円=当時)との情報が飛び交った。どこの国でも似た事案は発生するわけだが、それでもデーブ氏はアメリカと日本の違いは大きいという。
「中居さんの問題では『上納』という言葉が飛び交いました。私は英語で何と表現すればいいのかと考えてみましたが、正確に翻訳するのは不可能という結論に達しました。上納は江戸時代のような前近代的なニュアンスを持っているからです。また、テレビ業界での女子アナによる接待も話題になっていますが、アメリカの3大ネットワークでは日本のような“女子アナ”が存在しません。そもそも『正社員』の概念もなく、ただ契約しているだけです」
アメリカで「女性アナウンサー」は「女性キャスター」と呼ばれることが多いようだ。そして彼女たちのキャリア形成は日本のアナウンサーとは全く違う。
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