石破首相が立民・野田代表をべた褒めの理由 選挙制度改革にも言及
「選挙制度改革」を旗印にした“大連立”
結果、会談は2月以降との見通しになったのだが、
「通常国会が始まれば予算案審議などで日程はさらにタイトになる。訪米するにも野党の反発は想像に難くありません」(前出のデスク)
とのことで、
「自民党は予算成立と併せ、一連の“政治とカネ”の問題について3月末までに結論を出し、幕引きを図りたい考えです。ただしその前に、旧安倍派の元会計責任者の参考人招致を巡る攻防があります。先の臨時国会では見送られましたが、予算委の安住淳委員長は『通常国会の早い段階で決着させたい』としており、紛糾は確実。従って最大野党の立憲民主とは、何らかの形で折り合いをつけざるを得ないのです」(同)
そうした中で目下、自民党が画策しているのが「選挙制度改革」を旗印にした“大連立”だというのだ。先の党関係者いわく、
「苦戦を強いられる国会運営において、どうにかフェーズを変えたい。そこで、かねて石破さんが口にしてきた『選挙制度の見直し』を打ち出し、これを大義名分に掲げて立憲民主などに大連立を持ちかけようというものです。石破さん自ら予算委員会で切り出す可能性もあります」
“石破おろし”は起きない
首相は元日のラジオ番組で大連立の可能性を示唆。その後、1月6日に伊勢市で行われた年頭会見では、
〈今は考えていない〉
などとトーンダウンさせていた。それでも、
「夏に行われる都議選で自民は、現在の議会第1党の座から陥落する恐れがあります。その後の参院選でも、目標とする『与党で過半数』が、極めて微妙な情勢。かといって、党内では“石破おろし”が起きる気配は全くなく、自身も辞めるつもりは毛頭ありません。参院選後は国政選挙が3年間ないため、衆参とも少数与党に甘んじる可能性もある。その状況を石破さんは見据えているのです」(前出の関係者)
大連立に向けた大義名分
そのためには名目が重要になってくるといい、
「かつて2007年、福田康夫首相が、読売新聞の渡辺恒雄主筆(当時)の仲介で民主党の小沢一郎代表との大連立を持ちかけた際には、社会保障制度の抜本的見直しという“意義付け”がありました。結局は頓挫し、福田さんは『小沢氏にうそをつかれた』と振り返っていましたが、今回でいえば、選挙制度改革がよりどころの一つとなるわけです」(前出の関係者)
というのだ。当の首相はこれまで「中選挙区連記制」の導入に言及しており、
「総裁選前の昨春時点で、これを選択肢に挙げていました。派閥の異なる自民候補同士が競り合い、金権選挙との批判が沸き起こったかつての中選挙区制とは異なり、選挙区の定数を複数として有権者が複数の候補に投票できる仕組みです」(前出のデスク)
6日の年頭会見では、
〈約30年の現行制度の歴史を踏まえ、あらためて党派を超えた検証が必要だ〉
との旨を述べるにとどめたものの、政治ジャーナリストの青山和弘氏は、
「大連立に向けた大義名分の一つとして必要だという判断で、あえて盛り込んだのだと思います。会見で石破さんは『(大連立は)一回も言ったことがない』などと強く否定してみせましたが、実際のところ選択肢として視野に入れている状況は、何も変わっていないでしょう」
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