便秘は「寿命を削る病気」「脳卒中のリスクが」 男性も要注意の便秘の完全予防策

ドクター新潮 ライフ

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中高年が便秘になる理由

 排便しようとする時、私たちはお腹に力を入れます。すると、骨盤内にある骨盤底筋が自然と緩み、便が排出されます。これを排便協調運動(骨盤底筋協調運動)と言います。一般的に、年を重ねると排便協調運動がうまくできなくなっていき、骨盤の筋肉が緩むのではなく逆に固まりやすくなる。すると、便の通り道が塞がれ、便が出にくくなり、便秘につながるのです。

 また、何もしないと加齢とともに筋肉量は減っていくため、便を押し出そうとするお腹周辺の筋肉の力も落ち、便を出しにくくなる。これも中高年が便秘になりやすい要因です。

 さらに、やはり加齢によって直腸肛門の感覚が鈍くなるので、便が直腸に到着していることに気付かず、便がたまり、便秘を招いてしまいます。

男性も要注意

 排便を促す腸の蠕動(ぜんどう)運動が起きる時、自律神経は副交感神経が優位になっています。つまり、リラックスしている状態で蠕動運動は起きるわけです。旅行に行くと便秘になるという人がいると思いますが、これは旅先で環境が変わり、副交感神経が優位になりにくくなっていることが影響しています。年を重ねていくと、普段から自律神経の働きが乱れやすくなるので、このことも中高年が便秘になりやすい要因になっています。

 その他、高血圧対策としてのカルシウム拮抗薬や、うつ病のために抗コリン薬を服用すると腸の蠕動運動が低下すると指摘されていて、薬を飲む量や種類が増えがちな高齢者は、この点でも便秘になりやすいリスクを抱えています。食事量が減ることなども、加齢に伴う便秘リスクです。

 なお、便秘というと女性がなりがちなイメージが強いかもしれませんが、実は男性も50歳ごろから増え始め、75歳以上になると便秘有訴者の割合は女性より男性の方が多くなります。そして、男女合わせた便秘有訴者の割合は75歳以上で9.59%と、10人に1人近くになります。

 それでは、老化が大きな要因の一つである便秘をどう防げばよいのでしょうか。

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