便秘は「寿命を削る病気」「脳卒中のリスクが」 男性も要注意の便秘の完全予防策
「寿命を削る病気」
また、東北大学の研究者らによる「大崎国保コホート研究」という4万5000人超を対象にした大規模疫学調査では、排便頻度が「1日1回以上(A)」の人と比べて、循環器疾患で死亡するリスクは「2~3日に1回(B)」の人で1.21倍、「4日に1回以下(C)」の人で1.39倍だったとの結果が出ています。中でも、脳卒中による死亡リスクに関して言えば、Aの人よりもBの人は1.29倍、Cの人に至っては1.90倍と、2倍に迫ることが判明しています。
これらのデータから、便秘は「たかが便秘」などと甘く見ることはできず、「寿命を削る病気」であることは疑いようがありません。では、なぜ便秘は寿命を縮める恐れがあるのでしょうか。
要因は「老化」
便秘、つまり便が出にくい状態になると、便を出そうとして強くいきみます。「いきみ」を医学用語では「怒責」と言いますが、いきみ過ぎることは体にさまざまな悪影響を及ぼし、例えば呼吸が乱れるため肺に負担がかかり、呼吸器疾患を悪化させることにつながります。
特に中高年にとっては、いきむことは致命的なダメージをもたらす危険性があります。いきむと血圧や心拍数が急激に上がりますが、中高年は加齢に伴い血管のしなやかさが失われているため、いきんだ時の血管や心臓への影響が大きく、脳卒中や心血管疾患などを引き起こす恐れが高くなるからです。実際、救急搬送された患者の11%はトイレで倒れた、という救急救命センターの報告もあります。
デンマークの研究では、便秘の症状がある人は、便秘のない人と比較して、心筋梗塞になるリスクが1.24倍、虚血性脳卒中が1.50倍、出血性脳卒中が1.46倍だったとの結果も出ています。
このように、とりわけ中高年にとっては便秘が招く強いいきみは、「いきみごとき」「たかがいきみ」とは言っていられません。さらに厄介なのは、中高年は強くいきむことをより避けるべきなのに、若い人と比べてより便秘になりやすい、つまり強くいきまなければならない事情を抱えていることです。高齢になればなるほど便秘リスクは高まるのです。なぜなら、便秘をもたらす要因の一つは、大雑把に言えば「老化」だからです。
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