「温かった」の発音に「オーマイガー!」の大合唱 日本で働く「外国人労働者」が直面する意外な「言葉と文化の壁」

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コロナ禍の外国人労働者たち

 外国人労働者にとって、あのコロナ禍はどんな影響をもたらしたのだろうか 。

 厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」によると、2021年10月末の外国人労働者数は172万7221人で、前年から0.2%増加。2015年から続いていた2ケタ台の大幅増はストップしたものの、届け出が義務化された2007年以降で過去最高を更新した。

 通常通りの営業ができない企業や店舗は多かったものの、それでも外国人が必要だったというわけだ。

 しかし、当時は外国人労働者に対する理不尽なクレームが増えた時期だったと振り返る人も。

 ある飲食店の店主は、「当時は未知のウイルスだったため、外国人が不安の矛先になったのかもしれない。外国人というだけでクレームになることもあった。『あの外国人はなぜ国に帰らせないのか』というお声もあった」と話す。

 が、より多かったクレームは「何を言っているか分からない」というものだった。

「ただでさえ外国人特有のアクセントがあるのに、マスク装着のうえ、レジと客の間には透明のビニールシートが設置されました。『何を言っているのか分からないから日本人スタッフを呼んで来い』とよく言われました」

 逆に客側が何を言っているか聞き取れず、聞き返したら叱責をされたというケースも。そのため、一部店舗には「聞き返す可能性がある」旨の断りを掲げておく店もあった。

生活環境の違いに対する無配慮

 外国人労働者が苦労するのは、何も「言葉」に関すること だけではない。文化的な違いにも直面する。

 日本に来て大変なことは何かと聞くと、毎度数人の外国人労働者が答えるのが「孤独」だ。

「仕事が終わった後、ともに時間を過ごす友達がいない。ひとりで遊ぼうにも、地方なので繁華街まではかなり距離がある。元々自国から来ている同僚もいないし、日本人の友達がほしいんですが、なかなか輪に溶け込めない」

 また、日本には来日している外国人の宗教や生活習慣に対して無配慮な部分が少なくない。クリスマスイブの日、家の近所のコンビニでは、いつも世間話をするほど仲のいい外国人の店員が「サンタ」の格好でいた。

 ミャンマーから来た彼は、敬虔な仏教徒。「それは会社から言われてやってるのか」と聞いたら苦笑いしながら「うん」と答えていたのが印象的だった。

日本に蔓延る「マイクロアグレッション」

 日本では「鼻が高い」や「肌が白い」、さらには「日本語お上手ですね」というのは褒め言葉になるが、外国人にとってそのひと言は、時に侮辱にすらなることもある。

 人を褒めているようで実は傷つけてしまっていることを「マイクロアグレッション」というのだが、現在の日本では、このケースが多く見受けられる。

 日常の生活においてはあからさまな差別は大分少なくなったが、こうした「良かれと思って言った言葉」にも、外国人にとってトゲになる表現があることを知っておくといいかもしれない。

橋本愛喜(はしもと・あいき)
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)、『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA)

デイリー新潮編集部

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