超リアル再現の「九龍城砦」アクション映画が遂に日本上陸 ソイ・チェン監督が元住人への聞き取りで知った「伝説のスラム街」の意外な実態
映画界のバトンタッチもモチベーションの1つ
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」の主人公は、香港に密入国した陳洛軍(チャン・ロッグワン/レイモンド・ラム)。黒社会の大ボス(サモ・ハン)とトラブルを起こした陳洛軍は九龍城砦に逃げ込み、九龍城砦を取り仕切る龍捲風(ロンギュンフォン/ルイス・クー)に助けられる。そのまま居ついた陳洛軍にはほどなく3人の仲間ができたが、自身に関する奇縁、九龍城砦の取り壊し計画などにより、運命の歯車は大きく回り始める。
この陳洛軍と仲間の3人は30~40代の次世代俳優、龍捲風や大ボスらは50代以上のベテラン俳優たちが演じた。この意図に絡んで、チェン監督は「(本作は)世代交代の話でもある」と明言する。
「(映画の中の)善人も悪人も、世代交代は必ずやってきます。今の香港映画界を見ていても、若くて素晴らしい俳優は大勢いますが、良い映画に出演する機会がなかなかない。だから例えば、この映画を通して観客の皆さんに彼らを知ってもらうことも非常に意味があると思います。香港映画界にとっても良いことです。映画界でも世代交代、つまりバトンタッチ。実は私にとって、そういったこともこの映画を撮るモチベーションの1つになっていました」
とはいえ、ベテラン勢の役目が終わったわけではない。本作の超絶アクションはもちろん、老若男女の胸に刺さるドラマチックな展開は、ベテランのテクニックと存在感がなくては成立しないものだった。
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」新宿バルト9ほか全国劇場にて公開中 配給:クロックワークス
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「九龍城砦を舞台にしたアクション映画」という時点で、実は冒険だった本作。予想外の大ヒットに「香港映画の復活」を喜ぶ声も多いが、チェン監督の目にはどう映っているのか。第2回【低迷する香港映画は「今が一番大変」だが「希望も見える」 「九龍城砦」アクション映画で“時の人”となった監督が語る「やるべきこと」】では、ベテランと若手が互いを高め合った現場の様子や、香港映画界の現状に対する自身のアプローチなどについて語っている。