ファンが激怒する「上沢移籍問題」と「不透明な人的保障」 日本球界の“変なルール”は早急に見直すべきだ
まもなく春季キャンプがスタートするプロ野球。このオフに最も物議を醸したのが、ソフトバンクが元日本ハムの上沢直之を獲得したことだろう。上沢は、2023年オフにメジャー移籍を目指して、ポスティングシステムを申請して、レイズとマイナー契約。開幕前にはレッドソックスに移籍し、昨年5月にメジャーデビューを果たすも、シーズンの大半をマイナー・リーグで過ごした。今季は、古巣の日本ハムではなく、ソフトバンクで日本球界への復帰を選んだ。上沢の決断に対して、多くの野球ファンや球界OBから疑問の声が噴出している。【西尾典文/野球ライター】
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「ルールの抜け穴になっている」
そもそも、ポスティングシステムを利用したメジャー移籍は、日本ハムの理解を得なければ、実現しなかった。それに加えて、前述したように上沢はマイナー契約で、契約金は2万5000ドル。日本ハムに支払われる譲渡金は6250ドル、日本円に換算すると100万円に満たない。
日本ハムとしては、主力投手を失ったうえ、譲渡金もわずか。さらに、今季からパ・リーグのライバル球団に上沢が戦力に加わってしまう。これでは、日本ハムの関係者やファンが激怒するのも無理はない。
今回の騒動について、ある球団の編成担当者はこう話す。
「上沢もソフトバンクもルールに反したことはしていません。ただ、自分の要望を押し通して、(日本ハムに)ポスティングシステムを認めてもらった。それにもかかわらず、わずか1年で日本に戻って他の球団に行くとなれば、心情的に納得がいかないというのも当然でしょう。ファンだけでなく、球界関係者も同じように思っている人は多いと思います。『条件が良い球団を選ぶ』。これは選手にとって当然のことですが、上沢はFA権を取得していたわけではありませんから、ちょっとルールの抜け穴になっている感は否めないです」
このような形での移籍が騒ぎとなったケースは、これが初めてではない。日本ハムのエースだった、有原航平も2020年オフにポスティングシステムを利用してメジャーに移籍したが、2年間で3勝と結果を残せず、2023年からはソフトバンクで日本球界に復帰した。
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