伊豆大島「リゾートバイト人骨遺棄事件」は不倫関係のもつれだった 「“自供なし”では厳しかった」2日間20時間以上にわたる取調室での攻防

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 3カ月間にわたり伊豆大島を騒がせていた死体損壊・遺棄事件の“Xデイ”がとうとうやってきた。警視庁は男に強い疑念を持って捜査を展開してきたが決定的な証拠を掴めずにいた。自供なしでは逮捕が難しかった中、最後の任意聴取は2日間20時間以上に及んだ。

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骨に残されていた「損壊の痕跡」

 1月24日未明、警視庁は伊豆大島の自営業・柳瀬宗達容疑者(45)を死体損壊と死体遺棄容疑で逮捕した。被害者は過去に島の飲食店で勤務していた高瀬静香さん(当時37)。2人はホステスと客として知り合いかつて交際関係にあった。

 事件が発覚したのは昨年10月23日午後4時頃。島内の「砂の浜(さのはら)」と呼ばれる海岸で清掃活動をしていた人が人骨を発見した。仙骨、大腿骨、脛骨など6つの骨だった。

「埋められていたわけではなく岩場に近いところで発見されました。最初に遺棄されたところから流されて打ち上げられた可能性もある。骨には傷や焼かれたような痕が残されおり、警視庁が死体損壊・遺棄事件として捜査に乗り出すことになりました」(社会部記者、以下同)

 人定はなかなか進まなかったが、やがて警視庁は行方不明者情報をあたっていくうちに有力な情報を掴んだ。昨年9月頃まで静岡県下田市の飲食店に住み込みで勤務していた高瀬さんの同僚から、「高瀬さんが大島の彼氏に会いに行くと寮を出たきり帰ってこない」との証言を得られたのである。

妻子は本土で別居していた

「高瀬さんはリゾート地の飲み屋の住み込みバイトを転々とする生活をしていて、過去に2度、大島で暮らしていた。最初にやってきたのは19年8月頃。数カ月くらいXという店で働いて辞めて、一度他の小笠原諸島の島に移りましたが、しばらくしてまた大島に戻って同じ店で23年の9月頃まで勤務していた。その後、一度生まれ故郷の札幌市に戻った後、また下田でリゾートバイトを再開していました」

 入手した高瀬さんのDNAは骨と一致。同時に被疑者が浮上した。高瀬さんが同僚に「彼氏」と話していた人物こそが柳瀬容疑者だったのである。実際調べてみると、高瀬さんは柳瀬容疑者に会いに行った後、行方不明になっていた。高瀬さんが入島した記録は見つかったが出た記録はなかった。

「高瀬さんは大島で2度目の勤務が始まった後、客だった柳瀬容疑者と知り会い深い仲になったようです。柳瀬容疑者には妻子がいたので不倫関係だった。柳瀬容疑者の妻子は首都圏で別居しており、高瀬さんは一人暮らしだった柳瀬容疑者の自宅にも出入りしていました」

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