3年ぶりドラマ主演「香川照之」は本格復帰できるのか? 新作「サイコ・サスペンス」で高まる“怪優”への期待
最初はADを志すも……
香川の両親である俳優・浜木綿子(89)と歌舞伎俳優・二代目市川猿翁は1968年に離婚したため、香川は浜に育てられ、彼女の本名である香川姓を名乗った。名門・暁星学園から東京大学に進学し、1988年に東京大学文学部社会心理学科を卒業後、俳優ではなく、後に俳優としての“取引先”となるTBSの緑山スタジオでADとして勤務していた。
「先輩には怒られっぱなしだったものの、後輩には横柄な態度だったことを、後輩ADだった映画監督の行定勲氏(56)に暴露されています。激務のADは長続きせず、特にやりたいこともなかったので、『親の七光りを利用しない手はない』と芸能界入りしたことを、本人はインタビューで明かしています」(芸能記者)
88年に俳優デビューを果たし、両親のネームバリューや高学歴が注目されたが、決して順調にステップアップを重ねたわけではなかった。
「ドラマ・映画と映像作品のオファーは途切れることはありませんでした。しかし、なかなか頭角を現すことができませんでした。そんな中、91年から人気コミックを実写化したVシネマの『静かなるドン』シリーズで主演を務めた際、鹿島勤監督(68)から同じシーンで100回NGを出され、それまでは何となく俳優をしていたのが、以降は真剣に演技へ向き合うようになったそうで。これが大きな転機だったようです」(同)
熱狂的なボクシングファンとして知られ、無名時代から専門誌「ボクシング・マガジン」(ベースボール・マガジン社刊)にコラム「香川照之の熱病的思考法」を連載。鋭い視点で現役の選手や関係者をうならせるほどだったが、いよいよ俳優としての覚醒を見せたのが、ボクサーにとっては避けては通れない“減量”が役作りに必要な作品だった。
「09年から11年まで、足かけ3年にわたって放送された『坂の上の雲』では、結核と脊椎カリエスに冒された正岡子規役を演じるため、食事制限やランニングなど、5カ月間で15キロ以上も減量しました。ボクシングファンということで、減量のノウハウは心得ていたようですが、日本の俳優でそこまで役作りする俳優は見当たりませんでした。同ドラマは昨年9月からNHKで再放送され、この時点で香川さんは“地上波復帰”を果たしています」(芸能記者)
そして、11年に公開された不朽の名作コミックを実写映画化した「あしたのジョー」では、山下智久(39)が演じた主人公・矢吹丈の名トレーナー・丹下段平役を熱演。香川本人に「この役をやるために俳優をやって来た」と言わしめたが、この年、大きな決断を果たした。
「長年、疎遠だった父と電撃和解を果たし、長男・市川團子(21)を歌舞伎役者として独り立ちさせるべく、自らも九代目市川中車を襲名して翌年、歌舞伎俳優デビューすることを発表しました」(演劇担当記者)
香川の出演作でもっとも忘れ難いものといえば、13年に出演した堺雅人(51)主演のTBS系ドラマ「半沢直樹」だろう。香川が演じた大和田常務の最終回の土下座シーンは、ドラマ史に残る名場面となった。
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