「お目付け役」がいなかった中居正広氏 突然の引退は「短期間での復帰が困難」と判断か
問題は終わらない
20代女性とトラブルを起こした中居正広氏(52)が引退した。1月15日付の本稿が報じた通り、中居氏の番組は将来的にもスポンサーの引き受け手が考えられない状態で、現実的に芸能活動の続行は不可能だった。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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中居氏が引退したからといって問題にピリオドが打たれるわけではない。
中居氏と女性のトラブルが起きたのは2023年6月。多くの法曹関係者や社会部記者は気付いているはずだが、男女問題に関係する刑法の重大な改正が行われたのは同年7月。トラブル発生時は改正直前だったため、女性が和解でしか救済されなかった可能性が浮上する。
中居氏の代理人弁護士はフジテレビ「ワイドナショー」(日曜午前10時)のレギュラーである犬塚浩弁護士(第二東京弁護士会副会長)。港浩一社長(72)が17日の会見で言ったとおり、「女性の心身のケアが最優先」であろうが、何らかの説明はできるはずだ。
そもそもフジに出演していたタレント・中居の弁護士を、同じフジの出演者が務めるというのは社会常識に照らし合わせて、適切だったのだろうか。女性側を威圧したことにならないか。
犬塚弁護士はこれだけ世間が関心を示す問題がありながら、12日、19日と同番組を休んでいる。理由の説明も一切ない。それも守秘義務なのだろうか。
今回の問題をテレビ界全体の問題のように伝える向きがある。確かに深層にある隠蔽体質はテレビ界全体に共通するが、あくまで中居氏とフジの問題だ。三菱UFJ銀行の貸金庫盗難事件が同行の問題であり、全銀行の貸金庫が危ういわけではないのと同じだ。
日本テレビやテレビ朝日、TBSなどの女性アナも接待が当たり前のような報じられ方がされているが、筆者の下には3人の現役、元職の女性アナから怒りの声が寄せられている。フジに関する個別論をテレビ界の全体論にすり替えられたら、たまらないというわけである。
女性アナたちは「接待は絶対にない」「聞いた試しがない」と言い切る。フジは自社の個別案件であることを強調し、他局の女性アナを風評被害から守るべきではないか。
フジ幹部がトラブルに関与していたかどうかについてもフジ側が真偽をはっきりさせないので分からない。女性の周辺は一部取材に対し、幹部に中居宅での食事会に誘われたものの、行ってみると現場に幹部の姿はなく、中居氏と2人きりになってしまったと答えている。
これについてフジ側は17日の会見で「諸々、全部把握はしているが、ただ丸々、調査委員会に上げて、調査をお願いする立場。直ちに言及することは避けたい」と説明した。全部把握しているのなら、どうして調査委員会に報告しないと明かせないのか。
答えは「幹部の関与はなかった」「あった」の2通りしかない。簡単な話だ。女性のプライバシーにも関わらないはず。その後、詳細について調査委員会に調べてもらえばいいのではないか。そもそもフジは昨年12月27日の時点で、ホームページ上で出した声明によって関与をはっきりと否定している。
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