「ロレックスが暴落」は本当か? 中国経済が低迷も「正規品販売店」に行列が絶えない理由

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ロレックスの人気は本当に落ちたのか?

 高級腕時計ブランドの代名詞“ロレックス”。同社が作る腕時計のなかでもとりわけ高い人気を誇るのが、ステンレス製でかつ文字盤が白い「コスモグラフ デイトナ」だ。今年の1月に価格改定が行われ、現在の定価は234万9600円もする。しかし、正規販売店に通い続けても入手が難しいことから、中古市場では定価より高いプレミアム価格で取り引きされている。

 そんなデイトナをはじめ、ロレックス全体の中古市場での取引価格が“暴落”しているという報道がされている。例えば、前出の条件のデイトナは、コロナ禍の期間中に中古市場では700万円超で取り引きされていたことがあった(当時のモデルは現在では旧モデル)。現在は450万~500万円ほどで落ち着いている。

 下落の原因については、中国経済の停滞があると語られることが多いようだ。しかし、本当にロレックスの価格は、暴落しているといえるのだろうか。「確かに一時期の急騰ぶりに比べればだいぶ落ち着きましたが、暴落には程遠いと思います。一時期が高すぎただけで、現在でも定価の倍近い。十分に高いですよ」とは、腕時計のコレクターT氏である。

「デイトナをはじめ、ロレックスの人気モデルは正規販売店ではいまだに入手困難です。正規販売店でも比較的簡単に入手できるようになったり、いわゆる並行販売店で定価より安く買えるか、もしくは定価とほぼ同じくらいの価格で買えるようになったりしたら、“暴落した”といえるかもしれません。しかし、一向にその気配はありませんね」

ほとんどのモデルがプレミア価格

 腕時計市場で、ロレックスのブランド力は圧倒的だ。限定品ではなく現行品が、定価を上回る価格で取り引きされている商材など、世の中には数えるほどしか存在しないだろう。腕時計でも、パテック フィリップのノーチラスやアクアノート、オーデマ ピゲのロイヤルオークなどは、中古市場では定価以上で取り引きされることが珍しくない。

「ところが、ロレックスは半数以上のモデルが定価以上で取り引きされています。並行販売店を覗いてみると、デイトナのほかにも、サブマリーナーやGMTマスターIIなどのモデルは軒並み定価以上のプライスタグがつけられていることがわかります。他の腕時計ブランドでは到底考えられないことです」(T氏)

 実は、前出のパテック フィリップやオーデマ ピゲのほうがロレックスよりも歴史もあり、腕時計界では“格上”とされている。しかし、腕時計好きでなければブランド名を知らない人も多いだろう。他の追従を許さないレベルのブランド力と、他を引き離す圧倒的な知名度。これが、ロレックスが特別とされる要因である。

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