団塊ジュニアは“日本のガン”か? 年金にも頼れない「受難の世代」が長生きする“唯一の方法”とは
氷河期世代の悲劇
《世代人口が多い氷河期世代がいざ老齢になったら、年金受給開始は遅らされるだろうし、生活保護でも受給しなきゃ生活できないとなったら、今度は生活保護を受けさせないように妨害してくると思っている》
《氷河期がリタイヤする年齢になるころに年金が廃止になる気しかしない》
《氷河期世代を現役の時に豊かにしないと、貧しい高齢者になるんです。そして、今の年金制度では、人によっては生活保護に頼らざるをえない状況になる》
経済ジャーナリストの荻原博子さんは「日本の高度成長を支えた団塊の世代は、別に人間としての能力が高かったわけではありません」と言う。
「団塊の世代は単に運よく『上りエレベーター』に乗ったに過ぎないのです。一方の団塊ジュニア世代や氷河期世代は『下りエスカレーター』に強制的に乗せられたわけで、能力が劣っていたわけではありません。氷河期世代の悲劇は多々ありますが、まずは当時の政府も経済界も『すぐに景気は回復し、再び右肩上がりの成長に戻る』と楽観視していたことが挙げられます。このため早期の対策や支援が必要だったのにもかかわらず、後手に回って現在に至っているのです。就職氷河期の発生と非正規雇用の増加を“人災”と指摘する識者も少なくありません。政府の失政を考えれば当然でしょう」
セーフティーネットの崩壊
他にも悲劇はある。団塊ジュニアは両親が団塊世代で、先輩がバブル世代だった。消費に意欲的だった上の世代と常に比較され、批判されてきた点も見過ごせない。
「『結婚して子供を3人作り、マイカーとマイホームをローンで購入。子供たちは全員大学に通わせる』という団塊世代のライフスタイルと同じことを団塊ジュニア世代もやりなさい、という社会的圧力が顕著でした。しかし団塊ジュニアは充分な給与を与えられなかったので、車も家も買えませんでした。非正規雇用を強いられた氷河期世代の方々が直面した経済的困窮に至っては、自己責任論で批判する意見すらあったのです」(同・荻原さん)
社会保障の将来に関して荻原さんは「団塊ジュニアを筆頭に氷河期世代が高齢化すると、日本における国民年金や健康保険のシステムが崩壊する可能性がある」という問題意識ですら楽観的過ぎるという。
「2023年度の国の税収は72兆円を超え、4年連続で過去最高を更新しました。ところが2022年度の税金や社会保険料の国民負担率は47・5パーセントと限りなく5割に近づいています。現役世代から『負担に耐えられない』と悲鳴が上がっているにもかかわらず、高齢者は生活苦を訴えています。そのため国民から『一体、自分たちが納めた税金は、どこに消えたの?』と疑問の声が噴出しています」(同・荻原さん)
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