団塊ジュニアは“日本のガン”か? 年金にも頼れない「受難の世代」が長生きする“唯一の方法”とは
第1回【いまや大卒の就職率は「98.1%」で初任給「40万超」も…深刻な“若手不足”の一方で「氷河期世代」が全く報われないのはなぜか】からの続き──。就職氷河期は12年間とスパンが長く、団塊ジュニア世代が含まれるため総数2000万人と非常に多い。就職難で非正規雇用を強いられた人々は充分な収入を得られず、貯蓄も無理というギリギリの生活。こうした困窮が今後の日本社会を揺るがすのではないかと懸念されている。(全2回の第2回)
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運良く正社員として採用された氷河期世代でも、初任給は18〜19万円台。今の物価で換算するとわずか16万円に過ぎない。正社員組も決して裕福な生活を送ってきたわけではないため、こちらも蓄えは少ない。
氷河期世代のトップバッターとも言える団塊ジュニアが高齢化して年金受給者となり、1人あたりの医療費が高額化すると、果たして日本は彼らを支えることができるのだろうか──近年は社会保障の観点から団塊ジュニア・氷河期世代が論じられることも多い。
例えば日本の年金制度は賦課方式が採用されており、現役世代の保険料で高齢者に年金を支払うことになっている。担当記者が言う。
「今の日本は世界でも類を見ない高齢化社会です。年金保険料の負担に現役世代は悲鳴を上げていますし、健康保険も高齢者の医療費を捻出するのが困難になってきています。あと15年もすれば団塊ジュニアが60代後半になります。非正規雇用の多い氷河期世代は貯蓄が少ないですし、これを支える現役世代は少子化で絶対数が減っています。貧困化した団塊ジュニアは日本に財政難をもたらし、社会システムを根幹から破壊してしまう“ガン”ではないかという指摘は根強く、Xでは様々な意見が投稿されています」
氷河期世代に年金は払われるのか?
団塊ジュニアの総数は約800万人。これほど大規模な集団が数年で高齢化を迎えていくのだから、日本社会に与えるインパクトが大きいのは当然だろう。そのため時代の節目で“悪影響”を懸念する記事が報じられてきた。
例えば、今から10年前の新聞記事を見てみよう。中日・東京新聞は2015年11月、「特報 その先は下流中年 フリーター激増 非正規4割 背景に氷河期の就職、リストラ」との記事を朝刊に掲載した。
記事は《パートや派遣社員など非正規社員の割合が初めて労働者の4割に達した。中でも深刻なのは、就職氷河期世代などで「中年フリーター」とも呼ばれる人たちが激増していることだ》と指摘し、以下のように続けた。
《非正規では雇用保険の加入こそ七割近くあるが、健康保険や厚生年金の加入は五割強にとどまる。低賃金で貯金もない状態で、病気や事故、親の介護など不測の事態が起きた場合、一気に生活の困窮に陥る恐れがある》
この「中年フリーター」が、いよいよ高齢者になっていく。多くの読者には記事が掲載された2015年より、現在の2025年に読んだほうが、より身につまされるのではないだろうか。では、氷河期世代と社会保障の問題に関するXの投稿を見てみよう。
《氷河期世代が年金貰えるようになるの多分85歳過ぎてからとかになると思う 大半鬼籍に入ってそう》
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