いまや大卒の就職率は「98.1%」で初任給「40万超」も…深刻な“若手不足”の一方で「氷河期世代」が全く報われないのはなぜか

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24年の内定率は98%超

 早大卒の男性は「3年生が4年生になると就職活動の雰囲気が一変した」と証言した。しかし文部科学省「学校基本調査」によると、それでも大卒者における1992年組の就職率は79・9パーセントという数字だった。

 ところが男性が4年生になった1995年組は67・1パーセントに下落。最低は2003年組の55・1パーセントで、とうとう大卒者の半分が就職できない状況になってしまった。

 氷河期世代と今の若者を比べても溜息しか出ないが、厚生労働省が発表する「大学等卒業者の就職状況」を見てみよう。2008年組から2024年組まで、「就職(内定)率」が90パーセントを下回った年は、ただの一度もない。

 最低は2011年組の91・0パーセントで、2024年組に至っては何と98・1パーセントと過去最高を記録した。内定率だけでなく、初任給も大手企業を中心に引き上げが盛んでいる。

 時事通信は1月11日、「初任給引き上げ、30万円台続々 人材獲得競争が激化 大手企業」との記事を配信した。人手不足が深刻化しているため、大企業は初任給を引き上げ、優秀な若手を確保しようと奔走している。

初任給の異常な差

 記事で紹介された企業の一部を、給与の高い順にご紹介する。実施時期に違いがあるが、それは割愛した。

 記事中の最高額は東京海上日動火災で、転勤と転居を伴う場合は約41万円。明治安田生命保険は33・2万円、ユニクロを運営するファーストリテーリングは33万円、三菱商事は32・5万円、三井住友銀行は30万円──という具合だ。

「今さら恨み言を並べ立てても無意味ですが、そもそも氷河期世代の就職活動は圧迫面接や暴言、説教が当たり前という時代でした。『お前のような中途半端な大学生は……』と面接官に説教されるのは普通のことで、『また始まったよ』と呆れることができたのは、どこの社でも似た経験をするので耐性ができるのです。優秀な国立大学に通っている友人も『だから東大生はダメなんだ』とか『一橋の学生だからと言ってデカイ顔するな』とか、滅茶苦茶なことを言われていました」(同・早大卒の男性)

 学生の数は多いのに、採用数は非常に少ない。異常な買い手市場だったため、いくら優秀な学生でも不採用は当たり前だった。最後に内定を決めるのは運でしかなく、就活で苦労してどうにか入社しても初任給は18~19万円に過ぎなかった。

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