おじさんがキモがられる中で…結婚発表した錦鯉・長谷川が幅広い世代に支持される理由

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常に無邪気

 長谷川のキャラが子供に愛される理由は何となく理解できる。彼は大人びたそっけない態度を取ることがなく、おじさんなのに常に無邪気だからだ。自分を飾らず自然体で生きているため、マスコットキャラ的なかわいげがある。そういう部分を子供は敏感に察知して、味方のように感じているのだろう。

 今の時代、中年男性(おじさん)はいつになく厳しい立場に置かれている。今まで抑圧されていた社会的弱者の声が高まったことで 、セクハラやパワハラが今まで以上に問題視されるようになり、加害者の立場になることが多い中年男性は社会から何かと目の敵にされるようになった。

 中年男性の芸能人や有名人などによる性加害・パワハラ・セクハラなどの事件が毎日のように世間を騒がせている。もうおじさんたちの醜い姿を見るのはうんざりだ、というムードが世の中に生まれつつある。

 そんな中で、おじさんなのにかわいげがある長谷川は貴重な存在だ。おじさん受難の時代に現れた奇跡の50代。子供にも愛され、幅広い世代から支持される。芸人としての面白さに加えて、ピュアなかわいげがあるところが愛される理由になっている。

 既婚者となったことで、そのポジションにもますます安定感が増してきた。相方の渡辺もどっしりしたツッコミで長谷川の面白さを引き立てている。錦鯉の勢いはまだまだ止まることはないだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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